日本製鉄は2日、電磁鋼板で特許が侵害されたとしてトヨタ自動車と三井物産を訴えていた損害賠償請求を放棄し終了させたと発表した。取引関係にある日本を代表する企業同士の異例の訴訟は約2年で終結した。同じく訴えていた鉄鋼世界最大手の中国宝武鋼鉄集団の子会社、宝山鋼鉄とは引き続き訴訟を続けるとしている。
日鉄は2021年10月、ハイブリッド車(HV)など電動車のモーター材料となる鉄鋼製品「無方向性電磁鋼板」で自社の特許権を侵害されたとしてトヨタと宝山を東京地裁に提訴した。両社に損害賠償を求め、トヨタには対象となる電動車の製造・販売差し止めの仮処分を申し立てた。日鉄は同年12月に取引に関わったとみられる三井物産も提訴した。
日鉄は今回の請求放棄ついて、提訴後にカーボンニュートラルに向けて各国での競争が激しくなり自動車と鉄鋼の両業界が強固に協力していくことが必要になったと環境の変化を指摘。その上で「係争の継続は日本の産業競争力の強化にとって好ましいものでない」とした。
和解ではなく訴訟を放棄した判断に関し、日鉄関係者は「和解だと数年かかる場合もあり、対立より早く終わらせて協力するのが望ましいと判断した」と話す。
日鉄が特許侵害の対象としたのが高級機能鋼材の無方向性電磁鋼板だ。電動車のモーターに使い、回転率を左右する。日鉄は鋼板の成分や厚みなど自社が持つ特許に抵触する電磁鋼板を宝山が製造しトヨタに供給し、それを使ったモーターをトヨタが電動車に搭載し販売したと訴えた。日鉄はトヨタと宝山にそれぞれ200億円の損害賠償を求めた。
双方の主張が対立するなか、法廷での正式な口頭弁論などは開かれず、裁判所と当事者で水面下の協議が続いた。関係者によると、トヨタに対する3つの訴訟の1つが10月初旬に結審した。判決は24年2月29日に予定されていた。
日鉄は宝山に対して「素材メーカーとして自らの知的財産を守る」として訴訟を継続していくとした。
今回の提訴後に特許訴訟のリスクを警戒し、日本の自動車大手の中には電磁鋼板の一部を中国製から日本製に切り替えたメーカーもあるという。日鉄は今後トヨタとの関係改善を図り、脱炭素の取り組みなどで協力を求めていくとみられる。
日鉄の訴訟の放棄について、トヨタは「業界を超えて未来に向けた取り組みを進める」とコメントした。三井物産は「今後も良き事業パートナーでありたい」と述べた。
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2023-11-02 09:12:25Z
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