Q.経済対策の規模は17兆円台前半、一般会計の追加の歳出は13兆1000億円程度となった。
A.コロナ禍の巨額の財政出動と比べると減ったが依然として大型の補正だ。
コロナ以降、大型の補正予算が常態化しているかなと思う。
物価は上昇基調にあり、生活に困っている人たちへの支援はあってしかるべきだが、需要喚起するような新たな経済対策が求められている状況ではない。
政府に求められているのはやみくもな予算の拡大ではなく費用対効果に応じて優先順位をつけて賢くお金を使っていく知恵だ。
Q.経済対策の注目点は税収増の「還元」として所得税と住民税を減税する方針が盛り込まれたことだ。
A.国民に還元できるだけの財政余力があるのか疑問だ。
税収は伸びているが、他方で歳出も過去最高の水準になっている。
増えた税収を国民に還元すれば財政赤字は減らない。
今の財政状況は低金利で何とか続いてきたが、金利が上昇する局面で減税をすると、財政赤字を減らしていくことができなくなってしまう。
巨額の財政赤字を抱える中、増えた税収は、本来であれば将来の世代に還元するのがあるべき姿ではないか。
Q.今回は低所得世帯への給付も打ち出された。
A.生活に一番困ってる低所得の人たちを支援するのは大切だ。
ただ問題は、今の日本の制度では、本当に困ってる低所得の人を把握できないということだ。
例えば住民税の非課税世帯の多くは高齢者で、年金収入があり、金融資産を多く持ってる人も含まれている。
ややもすれば「バラマキ」になってしまうので正しく所得や資産を捕捉し、柔軟に支援する仕組みが求められる。
Q.ガソリン価格を抑えるための補助金を来年4月末まで延長した。
A.ガソリン価格の上昇が家計を直撃してるという面はある。
低所得層やどうしても車を日常的に使わなければならない地方の人たちの生活を支えるという意味での支援はあってしかるべきだ。
ただ、エネルギー価格の高騰は今の世界情勢では常態化していく。
そうだとすれば本来やるべきことは、省エネ化や再生エネルギー、電気自動車の普及など「グリーン化」経済への転換だ。
Q.半導体や宇宙開発の支援で複数年度にかけて支出できる「基金」に資金が積まれた。
A.半導体や宇宙開発の支援は複数年かかり、単年度予算にはなじみにくい。
例えば「今年は補助金が出るけど来年はどうなるかわかりません」というのでは、開発する側は先行きが不透明になる。
複数年にわたる支援を確約し、単年度予算の弊害を解消するという点で、基金は有効だ。
基金が適切に管理されているかは今後も見ていく必要がある。
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2023-11-02 10:39:24Z
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