精度の高い文章を生成できる対話型AI(人工知能)を活用する動きが広がっている。だが、安易に頼れば人の思考力を衰えさせかねない。利用のあり方を慎重に探るべきだ。
米新興企業が開発した対話型AI「チャットGPT」は、インターネットを通じ、文字で質問を入力すると、人間が作ったような自然な文章で回答する。昨年11月に一般に無料公開され、利用者数は世界で1億人を超えたという。
ビジネスでの活用が期待されている。「温泉街をPRするキャッチコピーを考えて」などと質問すると、瞬時にアイデアを出す。仕事の様々な文書も作成可能だ。
顧客との対話もでき、法律相談サイトを運営する「弁護士ドットコム」は今春、AIを使った相談業務に乗り出すという。
企業にとっては、業務の効率化や新事業創出につながる可能性を秘めているものの、広く普及させるには、懸念すべき点が多い。
作成した文章の内容が正確とは限らない。AIが学習した引用元は明示されないため、作成された文章などが他者の著作物とは知らずに商品やサービスに使われてしまう恐れもある。入力した情報が外部に
さらに大きな問題が教育現場への影響だ。例えば、「太宰治の人間失格の読書感想文を800字以内で」といった指示にも、即時に答えるため、子供らが利用しかねない。大学生のリポートに悪用される恐れもある。
そうした使い方が広がれば、自ら考えて文章を作成する能力が失われる可能性すらある。やみくもな使用はあまりに危険で、一定の歯止めをかける必要がある。
実際に、米国では、大学生が提出するレベルのリポートを作成する能力があることが示され、ニューヨーク市は所管する学校の端末やネットワークからアクセスできないようにしているという。
米国では「人類に深刻なリスクをもたらす」として、研究機関に対しAIの開発停止を求めるネット上の署名活動も起きている。
日本でも、想定されるリスクを多角的に検証しながら、法規制などの検討を急がねばならない。
国会では、立憲民主党の衆院議員が、岸田首相にAIで作成した感染症対策に関する質問を行った。それに対する答弁案もAIで作り、首相の答えと比較した。
安易にAIを使い、もてはやすのは好ましくない。AIをどう規制するかなど、問題点について国会で論議することが重要だ。
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2023-04-01 20:00:00Z
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