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【詳しく】中国1~3月GDP+4.5% 景気回復鮮明の一方で… - nhk.or.jp

中国のことし1月から3月までのGDP=国内総生産の伸び率は、去年の同じ時期と比べて+4.5%となりました。厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策がことし1月に終了したことを受けて、観光や飲食など個人消費が大幅に伸び、景気回復が鮮明になった形です。

中国の国家統計局の18日の発表によりますと、GDPの伸び率は、物価の変動を除いた実質で、去年の同じ時期と比べて+4.5%と、前の3か月から1.6ポイント拡大しました。4%程度を見込んでいた市場予想を上回るペースです。

「ゼロコロナ」終了で観光業は回復

個人消費が活性化している、“中国のハワイ”とも呼ばれる南部のリゾート地、海南島はゼロコロナ政策の影響を大きく受けてきました。2022年、夏に一時、島にある空港が閉鎖されるなど、大部分の地域で外出制限がとられたほか、国内の観光需要が減少する中で去年の年間の旅行客数はコロナ前の2019年と比べて3割近く減少しました。

今では「ゼロコロナ」政策の終了に伴い観光業は回復に転じていて、ことし1月と2月をあわせた旅行客数はコロナ前を大きく上回る2000万人となり、島内にある免税店の売り上げは、旧正月の7連休中だけで日本円で約500億円に上りました。

内陸部・江西省から訪れた観光客の男性は、「去年はずっと家にいてどこにもいけなかったので憂さ晴らしのために遊びにきました。予算は気にせず“リベンジ消費”をしたい」と話していました。

海南島では4月、消費のさらなる活性化を目指して大規模な見本市も開かれ6日間の開催期間中、のべ32万人が訪れました。会場には日本円で約1億円の高級車に、30億円を超えるネックレスなども展示されていました。

また、見本市には中国の消費者の購買意欲をあてにしようと60以上の国と地域から3000を超えるブランドが出展し、日本からも約50社が出展しました。

このうち日本の大手化粧品メーカーは2022年、中国市場での高価格帯の商品の売り上げがこの10年間で初めて減少し売り上げ全体でも前の年と比べて9.8%のマイナスに落ち込みましたが、ことし2月には店舗での売上がプラスに転じるなど、ことしは増収を見込んいます。

大手化粧品メーカー「中国の消費マインド 徐々に改善」

「資生堂中国」の于李莉企業広報シニアディレクターは、「中国の消費マインドは徐々に改善していて市場全体がだんだんと回復してきているのでことしの業績には楽観的な見通しを持っている」と話していました。

飲食業の売上高 13.9%の大幅増

また、中国の個人消費が回復する中で特に大きく伸びているのが飲食業です。

2022年は各地で行われた外出制限の影響や年末にかけて急速に感染が拡大したことで飲食業の年間の売上高は2021年と比べて6.3%のマイナスに落ち込みました。ことしに入って「ゼロコロナ」政策の終了と感染拡大がピークを越えたことを受けて、1月から3月までの飲食業の売上高は去年の同じ時期と比べて13.9%と大幅に増加しています。

各地の飲食店には客足が戻っていて、南部の中心都市、広州の繁華街では平日の月曜日でも夕方からたくさんの人でにぎわい、順番待ちの列ができて混雑する飲食店もありました。順番待ちをしていた地元の男性は「1週間に3、4回は外食するようになった。今の人々の消費意欲は高いと思う」と話していました。

比較的価格が高い日本食レストランにも客足が戻っていて、広州市内の高級寿司店ではほぼ連日満席の状態が続いているということです。

寿司店経営者「消費は回復している」

寿司店を経営する伊藤満さんは「新型コロナの感染が拡大している時は本当に大変だったが、いまは満席が続いて消費は回復していると感じる」と話していました。

中国国家統計局 報道官「経済は安定して回復に転じている」

景気が回復に転じたことについて中国国家統計局の付凌暉報道官は、会見で、「経済は安定して回復に転じ、よいスタートとなった。国際的な環境が複雑さや厳しさを増す中でそうした成果を出すのは容易ではなかったが、感染対策が転換したことで政策が効果を発揮して消費が明らかに回復した」と述べました。一方で、先行きについては、「世界経済の減速傾向が明らかになる中で不安定で不確定な要素が多い」と述べて慎重な見方も示しました。

不安材料は「低調な輸出」

一方、欧米の景気減速への懸念などを受けて輸出は去年の同じ時期と比べて+0.5%と、伸び悩んでいるほか、中国国内の自動車販売は景気対策として行われていた政府の購入支援が終了したことなどを受けて販売がマイナスに陥っています。

輸出の拡大を図って4月15日から南部・広州で開かれている国内最大規模の国際見本市には、中国政府などが招待した数十万人の外国人バイヤーなど訪れる見込みですが、出展する企業からは先行きを不安視する声が相次いで聞かれました。

このうち欧米向けに家電を輸出している浙江省のメーカーは、売り上げの半分を輸出が占めていますが、去年はヨーロッパの主な取り引き先の企業からの受注が全くなかったといいます。メーカーの担当者は「ことしに入って注文はゆっくりと戻っていて去年よりは状況が少しよくなると思うが、注文は多くなくやはり不安が残る」と話していました。

また、ヨーロッパ向けにジェットバスなどの入浴用の機器を輸出する広東省のメーカーは、去年の売り上げがコロナ前と比べて7割以上、減少しました。メーカーによりますと、ヨーロッパ各国で住宅向け設備の需要が減少していて、去年の下半期はヨーロッパからの受注はなかったということです。メーカーの担当者は、「今回の見本市に取引先の海外企業を招待したが軒並み参加しないという返事が返ってきた。貿易は活発な状態にはなっておらず楽観できない」と話しています。

海外の景気減速懸念の影響を受けているのが製造業の拠点、南部の広東省仏山にある住宅関連の電気設備メーカー、福田電器です。従業員約1200人のこのメーカーでは、北アフリカや中東、東南アジアなどの新興国が主な輸出先で、これらの地域向けの照明器具のスイッチやコンセントなどの2022年の売り上げは前の年より2割以上減りました。中でもこれまで最も売り上げが大きかったエジプトでは、ウクライナ情勢を受けて物価が3割以上も上昇するなどインフレにともなう景気悪化が打撃となったということです。

電気設備メーカー会長 “先行き不透明な中で懸念も”

福田電器の梁錫強会長は、「エネルギー危機や金利の上昇などで非常に大きな影響を受けており得意先だった市場の需要が減少している。いまや世界中の市場が課題に直面していると思う」と話しています。メーカーでは販売単価が高いヨーロッパの市場開拓を進めていますが、世界経済の先行きが不透明な中で懸念を感じています。

中国政府はことしの経済成長率の目標を5%前後としていて、今回の景気回復の勢いが持続的なものになるかどうかが焦点となります。

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2023-04-18 08:50:15Z
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