【シリコンバレー=渡辺直樹】イタリアのデータ保護当局は28日、対話型の人工知能(AI)「Chat(チャット)GPT」の一時使用禁止を解除したと発表した。開発した米新興のオープンAIが、個人データの取り扱いについて改善策を導入したことで容認に転じた。当局は今後も調査を続けるとしている。
イタリア当局は3月末にチャットGPTを一時的に禁止すると表明。4月12日にはオープンAIに対し、個人情報保護や年齢確認の仕組みを導入し、利用者などに公表するように要請していた。
オープンAIはこうした動きをふまえ、チャットGPTなどの安全対策の仕組みを公表してきた。AIの学習に必要な個人データの種類を明確にしたほか、データ処理の仕組みについて外部が異議を唱えられる権利があることをホームページで公表した。
当局が特に問題視していた年齢確認の仕組みも取り入れた。チャットGPTを使用する際、生年月日の記入が求められるようになる。25日にはサービス利用時のやりとりの履歴を削除できる設定を導入したと発表した。
こうした一連の安全対策の仕組みの導入を受け、イタリア当局は条件を満たしたとして再開を認めた。当局は「技術の進歩と人々の権利の尊重を両立するための取り組みを評価し、オープンAIが欧州のデータ保護規制を順守する道を歩み続けることを希望する」としている。
チャットGPTをはじめとする高度な生成AIをめぐっては、欧米を中心にプライバシーや著作権保護といった観点から懸念が広がっている。欧州連合(EU)では統一規制論も浮上する。オープンAIは幹部が各国を訪問して利害関係者と対話の機会を増やし、改善策をさらに模索する計画だ。
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2023-04-29 00:53:21Z
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