Search

日銀のビハインド・ザ・カーブに警戒感、YCCと物価ひも付けの呪縛 - ブルームバーグ

日本銀行の物価上昇への対応が遅れるビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)を警戒する声が出始めた。イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の修正を物価見通しにひも付けた植田日銀。決断が遅れれば、内外の政策格差による円安進行と一段の物価上昇、それに伴う政策の急転換で金融市場は大きく変動するリスクがある。

  JPモルガン証券の藤田亜矢子チーフエコノミストは、他の中央銀行との政策乖離(かいり)は円安圧力となる可能性があり、日本のインフレ率をさらに上昇させるだろうと予測。日銀のハト派姿勢が長引くと将来的に政策の急転換を求められるリスクが高まり、「待つことのコストは上昇してきている」と言う。

  ビハインド・ザ・カーブが警戒される背景には、先んじて金融引き締めにかじを切った海外主要中銀の教訓がある。米国の連邦準備制度理事会(FRB)がその最たる例だ。FRBは昨年、矢継ぎ早に政策金利を引き上げ結果、米長期金利は年後半に大きく上昇した。

  連邦公開市場委員会(FOMC)は今月、利上げをいったん停止したものの、再開の可能性も示唆するなどインフレ高進と景気後退リスクの間で難しいかじ取りが続く。一方、日銀が大規模な金融緩和策を維持する中で政策格差が意識され、為替市場では昨年11月以来の水準までドル高・円安が進行。円安は輸入物価の上昇を通じて国内物価を押し上げている。

物価見通し、大きく変われば政策変更につながる可能性-日銀総裁

米長期金利の推移

  日銀企画局は5月26日公表の論文で、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価(コアコアCPI)への影響が不連続に強まる賃金上昇率の閾値(しきいち)を3%程度とした。連合のまとめによると、定期昇給を含む賃上げ率は直近で平均3.66%。4月の毎月勤労統計の現金給与総額は1%増にとどまったが、5月の統計で上昇率が高まる可能性がある。

4月実質賃金は物価高響き3%減、名目の伸び鈍化-消費低調

  大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、想定より円安の時間が長期化すれば物価の押し上げに作用すると指摘。今年の春闘の賃上げ率は想定以上で、来年は今年より小幅な上昇率でも持続的になる可能性があり、「物価の上振れリスクは多い」とみている。

  日銀は次回7月の金融政策決定会合で新たな物価見通しを示す。コアコアCPIの上昇率見通しは4月時点で24年度が1.7%、25年度は1.8%。4月の同CPIは4.1%まで上昇率が高まった。植田和男総裁は23年度半ばにかけてプラス幅を縮小するとの見通しは変えなかったものの、「物価上昇率の下がり方が思っていたよりやや遅い」と語った。

  かんぽ生命保険の野村裕之執行役員兼運用企画部長は、国内の物価上昇は人手不足や高齢化、世界的なインフレが単年度で終わるものではないとの見方が市場参加者の間で少しずつ共有されていると説明。仮に日銀がビハインド・ザ・カーブに陥れば「金利が急激に上昇する可能性もある」と警戒する。

かんぽ生命、円債投資は待ち姿勢-ボラティリティー上昇「必ずある」

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、世界的なインフレの影響で日本のインフレ期待はゼロ%台から1%台半ばまで上昇し、今後2%を超える可能性も排除できないと話している。

    「あまりのビハインド・ザ・カーブは政策の急ブレーキの必要性を高めたり、金融不均衡の蓄積につながったりしかねず、回避すべきだというのが歴史の教えるところだ」とも語った。

Adblock test (Why?)


https://news.google.com/rss/articles/CBMiQ2h0dHBzOi8vd3d3LmJsb29tYmVyZy5jby5qcC9uZXdzL2FydGljbGVzLzIwMjMtMDYtMjEvUlZYMEpTVDBBRkI0MDHSAQA?oc=5

2023-06-21 00:36:20Z
2162944323

Bagikan Berita Ini

0 Response to "日銀のビハインド・ザ・カーブに警戒感、YCCと物価ひも付けの呪縛 - ブルームバーグ"

Post a Comment

Powered by Blogger.