証券取引等監視委員会は9日、仕組み債の販売で法令違反行為があったとして千葉銀行と武蔵野銀行、千葉銀傘下のちばぎん証券の3社に行政処分を出すよう金融庁に勧告した。顧客の知識や資産状況などを確認せず複雑で高リスクな仕組み債を買うよう勧誘し、十分に説明せず販売していた。金融庁は業務改善命令などの行政処分を検討する。
千葉銀と武蔵野銀は自行の顧客をちばぎん証券に紹介し、ちばぎん証券がその顧客に仕組み債を販売していた。両行は2016年から包括提携している。
監視委は21年11月から、苦情が多く日本証券業協会から注意喚起を計3回受けていたちばぎん証券の立ち入り検査を実施。銀行の顧客を証券会社に紹介して販売する「銀証連携」に関する問題が見つかったことから千葉銀と武蔵野銀にも検査に入り詳しく調べていた。
検査の結果、金融商品取引法で顧客の知識や経験、財産の状況、契約の目的に沿わない勧誘販売を禁じた「適合性の原則」に反するような行為が長期間、継続的に起きていたと結論づけた。
具体的には、銀行員が顧客の属性を確認しないまま仕組み債をちばぎん証券で買うように勧誘し、銀行員は証券会社の営業員に「できたらリンク債で1000万円やってほしい」と事実上、要請する形で顧客を紹介。証券会社も「顧客の利益よりも銀行との良好な関係を維持することを優先」して適合性の把握を怠り、顧客に勧誘していた。
銀行員の業績目標には、証券会社が紹介顧客から得る個別商品に関する収益も含まれているなど仕組み債を勧誘するインセンティブが働いていたとみられる。
内部管理体制の不備もみつかった。ちばぎん証券に寄せられた苦情は2019年度からの3年で計87件あった。ちばぎん証券の稼働口座数に占める苦情相談件数の割合は、日証協会員のうち、19年度から3年連続で最多だった。
顧客からは「投資経験がないにも関わらず仕組み債を勧誘され額面割れ償還になってしまった」といった苦情があったという。銀行も紹介顧客から長期間、継続的に多くの苦情が寄せられていた実態を把握していたにも関わらず、発生原因分析や改善に十分に取り組んでいなかった。
ちばぎん証券では、販売した仕組み債を保有する8424顧客のうち約3割にあたる2424顧客の投資方針を適切に把握していなかった。武蔵野銀では、仕組み債に偏った行員向け研修を実施していたほか、役員が各支店長に対して支店別の仕組み債(EB債)の収益実績表を送り、積極的な取り組みを指示していた。
監視委は「投資方針など適合性に関する状況を適切に把握する仕組みができていない。こうしたことを銀行・証券会社が行っていたことは重大な問題」と強調した。
千葉銀行と武蔵野銀行、ちばぎん証券は9日、監視委が金融庁に行政処分を出すよう勧告したことを受け、顧客らに謝罪するとともに「勧告内容を厳粛に受け止め、引き続き改善・再発防止に取り組み、お客さまをはじめ関係者の方々からの信頼回復に努めてまいります」とのコメントを発表した。
地銀100行を対象にした金融庁の調査によると、22年3月末時点で地銀の8割が仕組み債を取り扱っていたが、同年11月末に3割まで減少している。ちばぎん証券は仕組み債の販売を22年8月に全面的に停止している。
全国地方銀行協会の会長を務める米本努・千葉銀行頭取は22年9月の会見で「お客さま本位の業務運営ができているかどうかしっかり検証をしていくことが必要になると認識している」と述べていた。
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2023-06-09 09:43:55Z
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