証券取引等監視委員会は9日、仕組み債の販売で法令違反行為があったとして千葉銀行と武蔵野銀行、千葉銀傘下のちばぎん証券の3社に行政処分を出すよう金融庁に勧告したと発表した。複雑で高リスクな仕組み債を投資経験の乏しい顧客に勧め、十分な説明がないまま販売していた。金融庁は業務改善命令などの行政処分を検討する。
千葉銀と武蔵野銀は自行の顧客をちばぎん証券に紹介し、ちばぎん証券がその顧客に仕組み債を販売していた。武蔵野銀は2016年から千葉銀と包括提携している。
監視委はちばぎん証券を立ち入り検査し、銀行の顧客を証券会社に紹介して販売する「銀証連携」に関する問題が見つかったことから千葉銀と武蔵野銀にも検査に入って詳しく調べていた。
検査の結果、定期預金取引が中心で元本割れリスクのある投資商品の購入経験がない顧客に対し、仕組み債の複雑な仕組みやリスクを十分に説明せず販売していたと認定した。こうした行為は金融商品取引法で、顧客の知識や経験、財産の状況、契約の目的に沿わない販売勧誘を禁じた「適合性の原則」に反すると結論づけた。
仕組み債はデリバティブ(金融派生商品)を使った複雑な仕組みの債券で、もともとプロ向けに開発された。高い利回りをうたう一方、個別株や為替相場などの指標があらかじめ決めた水準(ノックイン価格)を下回ると償還時に元本割れが発生したり、利益を出すことなく早期償還されたりする場合がある。
2022年からの米利上げに伴う相場の急変でノックイン条項に抵触し、損失を抱える個人が増えたとみられる。金融庁は22年8月に公表した金融行政方針で、トラブルの絶えない仕組み債について販売上の問題点を挙げ、金融機関の経営陣に販売継続の有無をヒアリングすると明記した。
地銀100行を対象にした金融庁の調査によると、22年3月末時点で地銀の8割が仕組み債を取り扱っていたが、同年11月末に3割まで減少している。ちばぎん証券は仕組み債の販売を22年8月に全面的に停止している。
全国地方銀行協会の会長を務める米本努・千葉銀行頭取は22年9月の会見で「お客さま本位の業務運営ができているかどうかしっかり検証をしていくことが必要になると認識している」と述べていた。
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2023-06-09 07:34:34Z
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