31日の日本市場では、前日ようやく反発した債券が再び下落。日本銀行の金融政策正常化への警戒から投資家は売りスタンスを崩さない。株式では高金利が収益を押し上げると期待される銀行や証券など金融株が買われ、TOPIXは2カ月ぶりの高値となった。円は小動き。
世界の投資家は日銀の金融政策の行方に注目している。日銀はこの日、減額が警戒されている国債の買い入れに関し、定例の買い入れオペを通知した。各年限とも前回の買い入れ額を据え置いたが、予想通りだとして買い材料視されず、むしろ午後に入り先物は下げ幅を広げた。
岡三証券の鈴木誠シニア債券ストラテジストは、債券市場では日銀政策の正常化を織り込む動きが加速しており、国債利回りには上昇圧力がかかりやすいと指摘した。
総務省が朝方発表した全国の物価の先行指標となる5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年同月比1.9%上昇と伸び率が前月から拡大した。ただ、市場予想と一致したため、相場への影響は限定的だった。米国で金融当局が重視する個人消費支出(PCE)価格指数が日本時間の今晩に発表されるため、様子見ムードが強かった。
31日の日本市場の株式・債券・為替相場の動き |
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債券
債券相場は下落。日銀が早期に国債買い入れ減額や追加利上げを行うことへの警戒感から売りが優勢だった。
日銀は午前の金融調節で定例の国債買い入れオペを通知し、対象となる全年限の買い入れ額を前回から据え置いた。日銀は午後5時に6月の国債買い入れ予定(オペ紙)を公表する。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、オペ紙も変更はないとみており、日銀から新しい情報は提供されないと指摘。「国債買い入れオペを巡る不透明感が解消されない限り、上値の重い展開が続く」との見方を示した。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 | 5年債 | 10年債 | 20年債 | 30年債 | 40年債 | |
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0.400% | 0.640% | 1.070% | 1.880% | 2.230% | 2.380% | |
前日比 | 横ばい | +1.0bp | +1.5bp | +1.5bp | +3.0bp | +3.0bp |
株式
東京株式市場でTOPIXは1カ月ぶりの上昇率で3月27日以来の高値を付けた。国内金利が高水準を維持する中、銀行や証券といった金融株が買われ、東証33業種は全て高い。MSCIの銘柄入れ替えに伴う売買で東証プライムの売買代金は7兆円超と、市場再編以降の最大を記録した。
シティグループ証券が投資判断を引き上げた大和証券グループ本社を中心に証券株が軒並み高。TOPIX銀行指数も構成銘柄のほぼ全てが値上がりして2007年以来の高値を付けた。東京電力ホールディングスなど電力株の上げも目立ち、自社株買いを発表した関西ペイントは大幅高。半面、米ハイテク株安を受けて東京エレクトロンやレーザーテックなど半導体関連株の一角は安い。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、投資家は下落局面で買ってはいるが、株価が安く見えるからといって飛びつくことはないと指摘。日本の金融政策には不透明感があり、10年債利回りが30日に1.1%まで上昇したことで様子見ムードだと語った。
外国為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=156円台後半で前日終値を挟んで推移。月末関連の取引が一巡するとPCE価格指数を前に積極的な売買が手控えられ、動きがさらに小さくなった。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「基本的にPCE待ちだが、実際はもう来週の米雇用統計待ちに近い雰囲気だ」と説明する。ただ、5月中に発表された米経済指標からは景気に息切れ感が見られることから、「PCEが下振れた場合、9月の利下げ織り込みが進む可能性がある」と述べ、ドル安・円高になる可能性を指摘した。
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2024-05-31 05:15:59Z
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