液晶テレビに代表される液晶パネル産業は、日本の電機メーカーが市場を切り開いてきた歴史があります。
その後、韓国メーカーなどとの激しい競争に巻き込まれ、日本企業は次々と事業から撤退。現在は中国メーカーが台頭しています。
1970年代にシャープが世界で初めて電卓の表示用に液晶パネルを採用し、パソコン用からテレビ用に大型化技術を開発。その後、松下電器産業=いまのパナソニックや、東芝、日立製作所、それにソニーなども液晶パネルを手がけ、日本の液晶パネル産業は世界の中で大きな存在感を獲得しました。
しかし、2000年代に入ると、液晶パネルの生産は、大型工場による生産コストの効率化が競争力を大きく左右するようになります。
韓国のサムスンやLG、それに台湾メーカーとの巨額投資の競争に巻き込まれるなか、2004年には日立、松下電器、東芝が合弁会社を設立することで合意。一方、ソニーはサムスンと提携するなど、業界再編を繰り返す構図となりました。
しかし、中国メーカーの参入でさらに競争が激しさを増すなか、ソニーは2012年にサムスンとの提携を解消し、同じ年にシャープの堺工場への出資も解消して、テレビ用液晶パネル事業からの撤退を決めました。
また、日立、松下電器、東芝の合弁会社を引き継いだパナソニックは、2016年にテレビ用の液晶パネルの生産から撤退しました。
調査会社DSCCによりますと、2023年のテレビ用液晶パネルの売上額の世界シェアは、上位3社を中国メーカーが占めるなど高いシェアとなっています。これに対して日本メーカーで唯一のシャープは5位となっています。
さらに、テレビ用のディスプレーは、液晶パネルから、より高精細の有機ELパネルに主軸が移りました。
有機ELパネルでも、これまで高いシェアを確保していた韓国メーカーに対して、中国メーカーが猛追する状況となっています。
日本の電機メーカーが市場を切り開いてきたテレビ用の液晶パネル産業は、最後に残されたシャープの生産終了によって、事実上、幕を下ろすことになります。
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2024-05-14 08:55:50Z
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