28日の日本市場では長期金利が12年ぶりの高水準を連日で更新した。日本銀行による金融政策修正への警戒感が強く、債券売りが続いている。金利高で買われていた円はやや戻した。
先物が上昇して取引を開始した債券相場は次第に売り注文が優勢になった。日銀の早期国債買い入れ減額や追加利上げ観測が根強い。10年クライメート・トランジション(移行)利付国債入札も無難予想に反して若干弱めだった。金利上昇で円は対ドルで買われたが、前日終値まで戻された。日本株は方向感を欠く値動きだった。
27日の米国が休場で手掛かりに欠けた日本市場では、債券市場を中心に日銀政策への警戒感が想像以上に強いことが浮き彫りになった。日銀の植田和男総裁と内田真一副総裁の27日の発言は、直後の市場の反応は限定的だったが、解釈についてはタカ派的だったとの見方が出てきている。
大和証券の阿部健児チーフストラテジストは「副総裁のデフレ克服への自信から当面、金融緩和を後退させる方向で政策を運営すると考えられ、総裁の注意深く進んでいくとの方針からは金融引き締めの中心は政策金利のゆっくりとした引き上げではないか」と28日付リポートで指摘した。
28日の国内債券・為替・株式相場-午後3時過ぎ |
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債券
債券相場は下落。長期金利は1.035%と前日に続き12年ぶりの高水準を更新した。日銀の政策修正への警戒感が強く、10年移行国債入札も金利先高観から弱めの結果に終わった。
2月以来2回目となる10年移行国債入札は、発行額が減ったこともあり無難な結果が予想されていたが、日銀の政策修正観測の高まりで手控えられ、最高落札利回りが予想を上回った。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、金利先高観による手控えに加えて「日銀の国債買い入れの対象になるか不透明なこともあり、流動性リスクが意識された」と指摘する。
新発国債利回り(午後3時時点)
先物 | 2年債 | 5年債 | 10年債 | 20年債 | 30年債 | 40年債 | |
143円50銭 | 0.350% | 0.590% | 1.035% | 1.855% | 2.180% | 2.330% | |
前日比 | 2銭安 | +0.5bp | -0.5bp | +1.5bp | -0.5bp | +1.0bp | +1.0bp |
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=156円台後半で推移。鈴木俊一財務相が円安のマイナス面に対する懸念を示したほか、月末を控えてドルが幅広い通貨に対して売られていることが円の追い風となった。
三菱UFJ銀行金融市場部為替トレーディンググループの大原豪上席調査役は、財務相の発言のほか、前日の植田総裁や内田副総裁の発言がタカ派的だったことが「円金利の押し上げ要因となっており、円の支えとなった」と指摘。
株式
東京株式相場はTOPIXが小幅に続伸した一方、日経平均株価は下落した。前日終値を挟んで方向感に乏しい値動きとなる中、電力を筆頭に公益関連株といったバリュー株が値を上げた。半導体関連などグロース株は売りが優勢だった。
女川原子力発電所2号機の安全対策工事の完了を発表した東北電力を筆頭に電力株は大幅に上昇した。TOPIX業種別指数の電気・ガス業指数は一時4%近く値上がりし、11年3月11日の東日本大震災の以来の高値を付けた。
電力株急伸、女川原発再稼働に期待-みずほ証は3社目標株価上げ
レオス・キャピタルワークスの福江優也トレーダーは、売買は低調だがバリュー株は好調だと指摘した。銀行株などのバリュー株は国内金利の上昇期待もあって底堅く推移。世界的な景気循環に連動するグロース株の多くは米国市場の休場を受けて動意に乏しく、相場の重しとなった。
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2024-05-28 04:48:31Z
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