外国為替市場の円相場が対ドルで3カ月ぶりに150円台に下落し、当局による円買い介入に対する警戒が高まりつつある。2022年に円買い介入が実施された151円台後半が節目として意識されている中、実際の介入は152円を超える円安が進行してからとの見方が出ている。
「肌感覚的には155円くらいまでは円買い介入はないのではないか」と読むのは三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストだ。神田真人財務官のけん制発言のトーンは強めだったとしつつも、マイナス金利解除後も緩和的な状況が続くという日本銀行の正副総裁の発言と米国の利下げ観測の後退でドル高・円安になっており、「これを無理矢理止めるのはちぐはぐ感がある」と語る。
神田財務官は14日、150円台後半への円安進行を「かなり急速な動き」とした上で、必要があれば「最も適切な対応を取る」と述べた。円は13日に150円89銭と昨年11月16日以来の安値を付け、年初の140円台後半から1カ月半で10円あまり下落した。
為替の動きはかなり急速、必要なら最も適切な対応取る-神田財務官
市場で重要なポイントとして意識されているのが152円の節目だ。りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、円安は「実弾介入でなければ止められない」とした上で、152円を超えたところから実弾介入が警戒されると予想する。
政府・日銀は22年9月に145円台で約24年ぶりとなる円買い介入を実施。1990年以来となる151円95銭まで円安が進んだ翌10月にも2度の介入を行い、計9兆円を費やした。昨年11月に151円台後半に円安が進行した際は、神田財務官が介入について「スタンバイしている」と話した。その後151円91銭と22年10月の安値に迫ったものの、円買い介入は行われなかった。
市場関係者による為替介入に関するコメント:
BofA証券の山田修輔主席FX金利ストラテジスト
152円が一つのポイント。現段階では介入が目前まで迫っているという雰囲気ではない。日銀がマイナス金利の解除など政策修正をするタイミングが近づいているため、財務省としては市場の反応を見るまでは介入のオプションをとっておきたいだろう
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジスト
基調としてドルが強く円が弱いことの両面が効いている。介入が非常に近いことをにおわせるような発言などがないとこの流れは止まらない。神田財務官は投機は容認できないとしており、動きの大半が投機だと思えば実弾介入があってもおかしくない
東海東京調査センターの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジスト
昨年や一昨年の安値151円90銭が射程に入っており、152円を抜けると円売り加速も。財務省もかなり警戒しているが、介入はできないだろう。できても効かないのではないか。日銀のかたくなな金融緩和姿勢による円安を介入で止めようとすることは米国からも理解されづらい
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト
為替介入はないかもしれない。国民が円安を懸念しておらず、介入する強いインセンティブがあまりなさそう。財務省は口先でのけん制トーンを強めた印象があるが、内田副総裁は円安になると分かっていて緩和的な状況が続くと発言した。当局として統一した円安懸念がないように見える。今後も米経済指標の上振れでドル高になる時に口先介入が行われる場面が増える可能性はある
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2024-02-14 06:15:47Z
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