[東京 16日 ロイター] - NTTドコモ(9437.T)が15日に通信料金の値下げを発表したが、16日の株式市場では携帯電話大手3社の株価が軒並み上昇した。これまでは収益悪化懸念が上値を抑えていたが、新料金が値下げで先行する2社と同水準にとどまり、市場は値下げ競争の激化回避と受け止めた。総務省幹部はドコモの価格改定について第1弾としては評価したものの、さらなる競争の進展に期待感を示した。
16日の東京株式市場で、ドコモとソフトバンク(9434.T)は一時5%超、KDDI(au)(9433.T)は一時6%超の上昇となった。「競争激化」などの文字が踊る報道とは裏腹に、市場は過度な競争は回避されたと受け止めた。
実際、ドコモが打ち出したデータ量をあまり使わない利用者向けの「ギガライト」はauの「ピタットプラン」に、大容量プランの「ギガホ」はソフトバンクの「ウルトラギガモンスター+」に追随した印象を受ける。
国内証券関係者からは「ドコモが率先して値下げ競争を仕掛けることにはならなかった。これまで値下げ競争への懸念で売られていたが、安心感から買い戻しが入っている」との声が出ていた。
ドコモなど大手3社の料金プランはこれまで「消費者の利益を阻害するような料金プランだ」(総務省『モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言』)などと厳しく批判されてきたが、出てきたのは市場に安心感を与えるプランだった。
野村証券アナリストの増野大作氏は、15日付のリポートで「業界への影響は想定よりも小さい印象だ」と指摘。SMBC日興証券アナリストの菊池悟氏も、同日付のリポートで「新料金プランが業績に与えるネガティブな影響は大きくないと考えられ、同業他社が対抗して大幅な値下げを行う可能性は低い」として、競争激化には至らないとの見方を示した。
ドコモが通信料の大幅な値下げに踏み切れば、「格安」を売りにシェアを伸ばしてきたMVNO(仮想移動体通信事業者)が打撃を受ける可能性があったが、あるMVNO幹部は「とりあえず予想の範囲内で助かった」と胸をなでおろした。
今回の発表は通信料にとどまり、端末の販売施策は明らかにしていない。このため、業界関係者からは「端末代を合わせたトータルの支払い価格が分からず、まだ評価ができない」との声も聞かれる。同社は近く開催する端末発表会で、購入施策について発表する予定だ。
総務省幹部は、新料金プランについて「第1弾としては評価するが、これで十分かどうかはまた別の話だ。より一層競争が促進されることを期待している」と語った。
志田義寧 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/docomo-mobile-price-idJPKCN1RS0P5
2019-04-16 09:11:00Z
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