公正取引委員会が、インターネットの旅行予約サイト「楽天トラベル」「エクスペディア」「ブッキングドットコム」に独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いが強まったとして、サイトを運営する3社に立ち入り検査を行なった。
公取委は、3社が自社のサイトより安い旅行プランをライバルのサイトに掲載しないよう取引先のホテルや旅館に求め、自社サイトの予約が最安値となるよう不当な要求をしていた疑いが強いとみて調べている。
旅行市場は「OTA」が主流に
2019年4月10日に立ち入り検査を受けたのは、楽天トラベルを運営する楽天のほか、米エクスペディアと蘭ブッキングドットコムの日本法人。公取委はこれまでもネット通販の米アマゾン、民泊仲介の米エアビーアンドビーなどの日本法人を同法違反の疑いで調査している。いずれもインターネット上で第三者にビジネスの基盤を提供する「プラットフォーマー」と呼ばれる大手IT企業で、今回の3社も旅行サービスのプラットフォーマーだ。
公取委は2018年12月、「プラットフォーマーは革新的なビジネスを生み出し続けるイノベーションの担い手となっている」と評価するものの、「独占化・寡占化が進みやすい」とデメリットを指摘。「そのルールやシステムの不透明さが、利用者(事業者や消費者)との関係で不公正な取引慣行やプライバシーの侵害等の温床となるおそれがある」として、監視を強める方針を明らかにしていた。
今回のような旅行サイトは、旅行業界では「OTA(Online Travel Agent)」と呼ばれるインターネット専業の旅行代理店やサイト運営会社で、2000年代以降、スマートフォンの登場とともに急速に普及した。現在では国内の旅行市場の約4割をOTAが占めているとみられる。訪日外国人旅行者も、海外のOTA大手のエクスペディアやブッキングドットコムを利用するケースが多いとみられている。
自社サイトで割安プランを出したくても...
旅行業界は、航空券やホテルなどを組み合わせたパッケージ商品を旅行代理店の窓口で販売する従来のビジネスモデルから、ネット販売のOTAへの移行が進んでおり、JTBなど国内大手も自社サイトで旅行商品のネット販売を強化している。約4割のネット販売は今後も増え続け、旅行代理店の窓口販売を凌駕するのは確実とみられる。
公取委が今回、楽天など3社に立ち入り検査に入ったのは、プラットフォーマーの独占が進めば、旅行サービス分野の競争がゆがめられる可能性があるからだ。一例を挙げるなら、個人経営のホテルや旅館が、自社のサイトで割安なプランを提示して誘客したくても、これらの旅行予約サイトに掲載している場合は、契約サイトを下回る価格では提供できないという慣行がこれまであったという。独禁法はこれらの取引を「拘束条件付き取引」に当たるとして禁じている。
今回の立ち入りを受け、楽天は「当社は法令順守の徹底と企業の社会的責任に基づいた事業運営を行なってきたが、今回、立ち入り検査を受けた事実を厳粛に受け止め、公正取引委員会の検査に全面的に協力する」とのコメントを発表した。今後の公取委の検査の行方が注目される。
http://news.livedoor.com/article/detail/16347346/
2019-04-20 12:00:00Z
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