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ドコモの新料金プラン「ギガホ/ギガライト」、その強みと弱みを解説 (1/3) - ITmedia

 NTTドコモは4月15日、新しい料金プラン「ギガホ」「ギガライト」を6月1日から提供開始すると発表した。前者は月額6980円(税別、以下同)で月間30GBまでデータ通信を利用可能で、超過後の速度制限時も送受信1Mbpsで通信できる。後者はデータ利用量に応じて月額料金が変わる仕組みで、1GBまで(2980円)、3GBまで(3980円)、5GBまで(4980円)、7GBまで(5980円)――の4段階を用意する(7GB超過後の通信速度は送受信128kbpsに制限)。

 一方、回線契約と端末の購入補助をセットにした「月々サポート」、購入機種の継続利用を条件に、端末の購入代金をドコモが負担する「端末購入サポート」、特定の端末を使い続ける限り、半永久的に月額料金から1500円を割り引く「docomo with」――などの新規受付を5月31日に終了。総務省が主導する、通信料金と端末代金を分離させた「分離プラン」の導入を加速させる。

photo NTTドコモの吉澤和弘社長

ポイントは「分かりやすさ」「家族重視」

 ドコモの吉澤和弘社長は4月15日に開いた会見で、新プランの強みを「複雑な(キャンペーンなどの)適用条件をなくし、シンプルで分かりやすい料金体系にした点と、家族単位での割引をさらに強化した点だ」などと説明。今回の施策により、昨年10月末に“公約”として掲げた「料金プランの最大4割値下げ」を実現するとしている。

 従来のドコモの料金プランは、「カケホーダイプラン」「カケホーダイライトプラン」といった音声通話プランと、「ウルトラシェアパック100」「ウルトラデータLLパック」などのデータ通信プランの中から好きなもの選んで組み合わせる仕組みだった。

 この制度は、カスタマイズ性の高さは魅力だが、理解する上で一定のリテラシーが求められる側面もあった。中でも、データ通信プランの「シェアパック」シリーズは、家族間で通信容量を分け合えるものだが、誰がどれだけ使っているかを把握しづらいという声も出ていた。

photo パッケージ化し、分かりやすさを向上

 さらに、ドコモが展開した割引キャンペーンをユーザーが利用する際は、多様な条件を満たしている必要があり、恩恵を受ける上で一定のハードルが存在していた。

 これらの課題を解消するため、新プランでは音声通話とデータ通信をセット化し、組み合わせる手間をなくした。通信容量をシェアする制度も廃し、個々人が異なる料金プランを選択できるようにした。

 割引キャンペーンも、(1)ギガホの契約者の月額料金から最大半年間1000円を割り引く「ギガホ割」、(2)フィーチャーフォンからスマートフォンに機種変更したユーザーの月額料金から最長1年間にわたって1000円を割り引く「はじめてスマホ割」――の2種類に絞り、単純明快な仕様とした。

 「(キャンペーンを除くと)契約1年目だけ月額料金が安く、2年目から高くなる例が(他社には)あるが、ドコモは2年目以降もずっとこの料金だ」と吉澤社長はプランの分かりやすさに自信を見せる。

「みんなドコモ割」「ドコモ光セット割」で家族客に還元

 またドコモは、新プランに、家族内にドコモユーザーがいる場合に料金を安くする制度も用意。同社は3人以上の家族客が契約者の7割以上を占めるなど、家族客から高い支持を得ており、この関係性をさらに強化して他社への流出を防ぐなどの狙いがある。

 具体的には、3親等以内のドコモユーザーの人数に応じて、該当者全員の月額料金が割り引かれる「みんなドコモ割」をスタート。2回線の場合は500円、3回線の場合は1000円を割り引く。

photo 「みんなドコモ割」の仕組み

 合わせて、データ通信サービス「ドコモ光」の契約者が家庭内に1人でもいれば、家族全員の月額料金から各500〜1000円を割り引く「ドコモ光セット割」も展開する。

 いずれも、家族が新プランに移行した場合だけでなく、過去のプランを引き続き契約している場合もカウント対象となる。

 「他社は、多くのデータ容量を提供するプランのみに家族割を設ける例が多い。ドコモはそこを撤廃したため、かなりの競争力があると考えている」と吉澤社長は意気込む。

“2年縛り”はそのまま

 このように、「分かりやすさ」「家族の優遇」という2つの強みを持つドコモの新プランだが、2年契約が設けられており、途中で解約する場合は違約金が発生するという仕組みは従来のまま。任意の時期に解約できるプランに変更する場合も、従来通り月額1500円を追加で支払う必要がある。

 契約・解約のしやすさには大きな変更はない形だが、ドコモの丸山誠治常務執行役員は「総務省の『モバイル市場の競争環境に関する研究会』で議論され、規制がかかるようであれば従いたい」と話すにとどまった。

端末購入補助の行く末は

 また、ドコモの新プランには、他にも気掛かりな点が2つある。それは「端末代金の割引は受けられなくなるのか」「個人ユーザーは新プランの恩恵を享受できるのか」――という点だ。

 特に、各メーカーのフラッグシップモデルは10万円弱と高価なものが多いため、補助なしでの購入に抵抗感を持つユーザーも多そうだ。これを報道陣に指摘された吉澤社長は「分離プランを出したからといって、端末補助はゼロにはならない。補助の割合は少なくなるが、(代わりの)アイデアを検討したい」と説明し、何らかの方法で補助を続ける方針を示した。

 しかし、代替策の発表時期については「コメントを差し控える」(吉澤社長、以下同)とし、「春夏モデルの新端末を発表する際に合わせて発表する」と明かすにとどまった。

個人ユーザーはあまり安くならない可能性も

 また、吉澤社長によると、今回の新プランで最も月額料金が下がるのは、ドコモ契約者の4割を占める、月間1GB程度しか使わないライトユーザー。大容量プランの値下げ幅は2割程度だといい、「1人で使っている場合は恩恵が得られない場合もある」と吉澤社長は認めた。

 中には、冒頭で触れた月々サポートを継続したほうが月額料金が安くなる場合もあるといい、対象ユーザーには同サービスの契約期間が終了してから新プランの訴求を図るとしている。

他社プランのいいところを採用

 通信業界に目を向けると、従量課金制のライトユーザー向けプランと、大容量のヘビーユーザー向けプランをそろえる手法は、KDDIの「auピタットプラン/auフラットプラン」、ソフトバンクの「ミニモンスター/ウルトラギガモンスター」などが存在する。

 ドコモはギガホ/ギガライトを設計する際に、こうした競合のプランを一部参考にしたといい、吉澤社長は「分かりやすさは当然認め、いいところを取り入れた」と説明。料金を踏み込んだ点や、30GBを超えても1Mbpsで通信できる点などで強みを出した」と差別化要因をあらためて説明した。

 今後は競合の動きを踏まえ、新プランにオプションなどを設定する可能性もあるという。「2社が何らかの対抗策を打ってくる可能性は否定できない。中身を見た上でしっかりと判断するが、料金に加えて、サービスやLTE通信の品質、アフターケアを総合的に勘案しながら検討していく」と吉澤社長は説明する。

photo 今後も複雑になりすぎないように、オプションなどを設定する可能性もある

 こうした施策は検討しながらも、新プランの強みである“分かりやすさ”は失わないよう工夫する方針で、「極力複雑にならないようにする」という。

 吉澤社長は昨年10月末に値下げの計画を公表した際、その規模について「4000億円の顧客還元を行う」という表現も用いていた。その全額を19年度に還元するわけではないが、同年度は減益を見込み、利益が従来の水準に戻る時期は23年度ごろを見込む。ただ、この計画にこだわるつもりはないといい、吉澤社長は「前倒しできるようしっかり努力していきたい」と決意を語った。

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https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1904/16/news049.html

2019-04-15 20:00:00Z
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