インフレ抑制に向けた各国中央銀行の取り組みやリセッション(景気後退)が間近に迫っているとのエコノミストの予測にもかかわらず、労働市場は堅調を維持している。
力強い労働市場は労働者にとってプラスだが、インフレにとってはマイナスで、この数十年で最も積極的なペースで利上げを進める世界の中銀が手を緩められないことを示唆している。
借り入れコストが急増し、経済成長が鈍化する中で、失業率は上昇していない。それどころか先進国の企業は慢性的な人材不足に悩まされている。中銀がインフレを抑えるため需要の減少を必要とする一方、根強い労働力需給のミスマッチが賃金を下支えし、消費者を景気減速から守っている。
S&Pグローバルが手掛けたJPモルガン・チェースの指数によると、世界の製造業・サービス業界の雇用は9月までの2年間にわたり毎月増加していた。また、経済協力開発機構(OECD)によれば、加盟38カ国の失業率は8月に4.9%となった。これは加盟国の80%で新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前と同じかそれを下回る水準だ。
JPモルガンのグローバルエコノミスト、ジョゼフ・ラプトン氏は「労働市場は広範にわたり好調だ。力強い雇用の伸びが消費者を支える大きな柱であることは間違いない」と述べた。
米国の失業率は3.5%と、50年ぶりの低水準に並んだ。ユーロ圏ではユーロ導入後の20年で最低となった。オーストラリアやカナダ、韓国でも金利上昇にもかかわらず労働市場は逼迫(ひっぱく)している。
雇用の伸びが止まり始めれば、中銀が利上げペースを緩めるか停止できる時期を判断する手助けになる。雇用が底堅さを維持する限り、中銀は手を緩めることに消極的になる可能性がある。
インフレが低下し、失業率が緩やかにのみ上昇するシナリオなら、世界の中銀にとって最良のケースとなるだろう。米連邦準備制度は米国の失業率が今後1年で4.4%に上昇し、その水準を維持すると楽観的な見通しを示している。
しかし、広範な雇用と急速な賃金上昇が消費者需要の支援に果たす役割を考えれば、政策担当者が失業率を押し上げることなくインフレ目標を達成できるかどうかは分からない。
ブルームバーグ・エコノミクスの試算では、米国でインフレ率を連邦準備制度の目標である2%に戻すには、雇用が1年にわたり毎月約3万5000人の純減となる必要があり、物価圧力がさらに強まった場合はより大幅な雇用減が必要となる。
金利上昇がなお経済に浸透し、いずれは大量のレイオフにつながる可能性がある。元日銀審議委員で慶応義塾大学の白井さゆり教授は、失業率のデータは遅行指標で、影響が判明するのはずっと後だと指摘。年末に向けて金融政策の影響がやや遅れて表れる可能性があるとの見方を示した。
原題:Job Markets Are Defying Central Bankers’ Efforts to Cool Demand(抜粋)
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2022-10-31 01:44:31Z
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