18日の米株式相場は上昇。M&A(企業の合併・買収)案件が数多く発表されたことが相場を支えた。市場の早期利下げ観測を米金融当局者はこの日も押し戻そうとしたが、さほど材料視されなかった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4740.56 | 21.37 | 0.45% |
ダウ工業株30種平均 | 37306.02 | 0.86 | 0.00% |
ナスダック総合指数 | 14904.81 | 90.89 | 0.61% |
先週まで週間ベースで7週連続上昇を記録したS&P500種株価指数は、前週末比0.45%高で終了。ハイテク株の比重が高いナスダック100指数は0.6%上昇。15日に続いて終値ベースでの最高値を更新した。
M&Aは過去数カ月は低調だったが、18日に明らかになった案件は総額400億ドル(約5兆7200億円)を超えた。
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「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は引き続き12近辺と、ここ数年の最低水準付近で推移した。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏は「過去数年間で見て、現在は短期間に最も力強く上昇した相場の一つだ。12月後半に見られる株式相場の季節的な上昇傾向が、買い疲れの可能性に妨げられるかどうかに今週は注目したい」と指摘。
米国では今週、耐久財受注や個人消費支出(PCE)価格指数、国内総生産(GDP)確定値などが発表される。S&P500種が一段と上昇するかどうかは、こうした経済指標に左右されるとみられる。
ラーキン氏は「S&P500種が終値ベースで7週連続で上昇したのは、1964年以降で他に20回しかない。そのうち8週連続となったのは12回だ」と記した。
この日はシカゴ連銀のグールズビー総裁とクリーブランド連銀のメスター総裁が、市場の楽観論に水を差す発言を行った。15日にはニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、金利を3月にも引き下げることを考え始めるのは早過ぎると述べていた。
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クリーブランド連銀総裁、金融市場は利下げ巡り「やや先走り」-報道
BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンジェン氏は、金融政策は今やデータ次第だという点で米金融当局と投資家は一致しているとした上で、「市場は各種データが米金融当局の想定より早く鈍化することに賭けている。そこに相違がある」と指摘した。
欧州でも、 欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、スロベニア銀行(中銀)のバスレ総裁が「市場の利下げ期待は早過ぎる」と発言。14日にはラガルドECB総裁が「われわれは利下げを全く議論しなかった」と記者会見で明らかにした。
日本銀行が19日に発表する金融政策決定会合の結果にも、市場関係者は注目している。日銀が近くマイナス金利を解除するとの観測は強まっているが、ブルームバーグがエコノミスト50人余りを対象に実施した調査によると、その時期は来年4月との回答が最も多く、次いで来年1月が15%となった。
姚煒氏が率いるソシエテ・ジェネラルのエコノミストらは「日銀が政策変更を急ぐ必要はほとんどない」と指摘。「しかし市場は、マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)撤廃の意向を政策委員会が何かしら示唆するかどうかを注視することになるだろう」とリポートで指摘した。
米国債
米国債相場は下落(利回り上昇)。年限が長めの国債が特に大きく下げた。ドイツ10年債利回りが6営業日ぶりに上昇するなど、欧州中核国債の動きが米国債相場に影響を与えた。
米国債先物の取引は薄く、ドイツ国債の動きを除けば大きな取引材料はなかった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.05% | 3.8 | 0.95% |
米10年債利回り | 3.93% | 2.2 | 0.57% |
米2年債利回り | 4.45% | 0.6 | 0.13% |
米東部時間 | 16時40分 |
5年債と30年債の利回り差は2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大し、スティープ化した。
外為
外国為替市場で、円はドルに対して下落。一時0.7%安の1ドル=143円16銭まで売られた。米国債利回りの上昇に加え、日銀会合でマイナス金利やYCCの枠組みの撤廃は見送られ、現状維持が決まる公算が大きいとの見方が背景にある。
日銀会合注目点:マイナス金利解除の距離探る、声明文や総裁会見注視
ドルは他の主要10通貨に対して、まちまち。原油相場の上昇を受け、産油国ノルウェーの通貨クローネが買われた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1226.89 | 0.47 | 0.04% |
ドル/円 | ¥142.85 | ¥0.70 | 0.49% |
ユーロ/ドル | $1.0924 | $0.0029 | 0.27% |
米東部時間 | 16時40分 |
ポンドはドルに対して下げ、一時0.4%安の1ポンド=1.2629ドル。20日に発表される英消費者物価指数(CPI)に注目が集まっている。
原油
ニューヨーク原油先物相場は反発。2週間ぶりの高値を付けた。紅海の船舶への攻撃が増える中、同海域の通航を停止する石油会社やタンカー保有会社が増加しており、買いが優勢になった。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は1バレル=72ドルを超え、4日以来の高値で終えた。一時は4%上昇する場面もあった。英石油大手BPは紅海を経由する全ての輸送を一時停止。石油生産でノルウェー最大手エクイノールは船舶をこの海域から遠ざけている。大手船舶会社ユーロナブも安全上の懸念を理由に通航を控えている。
世界有数のタンカー保有会社、フロントライン管理部門の最高経営責任者(CEO)、ラース・バルスタッド氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「かつて経験したことのないほど状況はエスカレートしている」と指摘。「イスラエルや紛争とは全く関係のない船舶が攻撃されるのは時間の問題だろう」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前営業日比1.04ドル(1.5%)高の1バレル=72.47ドルで終了。同限月は19日に最終取引日を迎える。ロンドンICEの北海ブレント2月限は1.40ドル上げて77.95ドル。
金
ニューヨーク金相場は小反発。金利見通しを探る中、買いが優勢になった。来年早期の積極的な金融緩和観測に対し、複数の金融当局者は否定的な見解を示した。
金は通常、債券利回りと逆相関の関係にあり、金利が低下するほど価格が上昇する。先週、利上げサイクルがほぼ終了したことを米金融当局が示唆した後、金スポットは2000ドルを超えた。
ゴールドマン・サックス・グループは18日のリポートで、よりハト派的な米金融当局とドル安が金価格を押し上げる可能性があると指摘。今後12カ月の目標を1オンス=2175ドルに引き上げた。インドと中国での実需が堅調なことも、金価格を下支えするはずだとしている。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前営業日比4.80ドル(0.2%)高の1オンス=2040.50ドルで取引を終えた。金スポット価格はニューヨーク時間午後1時47分現在、0.3%高の2026.12ドル。
原題:Stocks Ratchet Higher as Rates Optimism Prevails: Markets Wrap
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2023-12-18 21:41:00Z
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