<為替> ドルが全面安となった。対円では4カ月超ぶり、対ユーロでは2週間ぶりの安値をそれぞれ付けた。米連邦準備理事会(FRB)が13日までに開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で来年に利下げに着手する可能性を示唆したことが引き続き材料視された。
一方、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中央銀行)が14日、高水準の政策金利が長期間維持される可能性を示したことを受け、ユーロとポンドは上昇した。
パウエルFRB議長は前日のFOMC後の記者会見で、見通しの不透明さを指摘し、政策当局者が利下げを視野に入れる中でも、現時点では利上げを明確に否定することはできないと表明。「政策金利が引き締めサイクルのピークに達したか、その近くにあると考えている」としながらも、経済の予測不可能な性質を踏まえると、FRB当局者は「一段の利上げが適切になる可能性は低いと考えると同時に、その可能性を排除したくない」と述べた。 もっと見る
BofAグローバル・リサーチのG10為替戦略グローバルヘッド、アタナシオス・バンバキディス氏は「昨日のFRBは非常にハト派的だった」と述べた。
米金利先物市場では、FRBが来年3月に0.25%ポイント利下げを実施し、2024年12月までの利下げ幅が計1.50%ポイントになるという観測がほぼ完全に織り込まれた。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.89%安の101.95。一時、8月10日以来の安値となる101.76を付ける場面もあった。
朝方発表された11月の米小売売上高が前月比0.3%増と、市場予想の0.1%減に反して増加したことを受け、ドルは一時下げ幅を縮小した。
ユーロ/ドルは1.08%高の1.0991ドルと、11月29日以来の高値を付けた。
ECBは14日の理事会で、政策金利の据え置きを決定した。据え置きは2会合連続。インフレ期待の低下にもかかわらず金利は高水準にとどまると改めて確認し、利下げ観測を押し戻した。 もっと見る
JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル為替戦略責任者サミュエル・ジーフ氏は「ECBが前日のFRBのハト派転換を上回ることはできなかった」とし、ECBの最新経済見通しからは「制約的な政策からの転換を急ぐ理由は見当たらない」と述べた。
ポンド/ドルは一時1.11%上昇し、8月22日以来の高値を付けた。英中銀は14日の会合で、政策金利を15年ぶり高水準となる5.25%に据え置き、金利が「長期にわたり」高止まりする必要があるとの認識を改めて示した。 もっと見る
ドルは対スイスフランで0.63%下落し、7月27日以来の安値を付けた。スイス国立銀行(中央銀行)は14日、政策金利を予想通り1.75%に据え置いた。声明で「インフレ圧力はこの四半期でわずかに低下した。しかし不確実性は依然として高い。従って引き続きインフレの動向を注意深く監視し、必要に応じて金融政策を調整する」とした。 もっと見る
ドルはノルウェークローネに対しても2.28%安と、8月15日以来の安値を付けた。ノルウェー中央銀行は14日、インフレに対処するため政策金利を25ベーシスポイント引き上げ4.50%とした。市場では据え置き予想が優勢だったためサプライズとなった。 もっと見る ドル/円は0.68%安の141.94円。円は一時、7月31日以来の高値を付けた。
豪ドルは0.54%高の0.6696米ドル。11月の豪就業者数の伸びが2カ月連続で予想を大幅に上回ったことを受け、豪ドルは一時、4カ月超ぶりの高値となる0.6728米ドルを付けた。 もっと見る
暗号資産(仮想通貨)ではビットコインが0.25%高の4万2994ドル。
NY外為市場:
<債券> 国債利回りが大きく低下した。FRBがハト派化したことを受け、市場では来年の利下げに備える動きが出ている。
FRBは前日まで開いた会合で金利据え置きを決定すると同時に、来年の利下げの可能性を示唆。パウエルFRB議長が会合後の記者会見で利下げの時期が次の問題だと述べたほか、最新の金利・経済見通しで来年に合計0.75%ポイントの利下げが実施されるとの見方が示された。 もっと見る
この日の取引で10年債利回りは3.885%と、7月以来の低水準を更新。5年債利回りは3.849%と、6カ月ぶりの低水準を付けた。2年債利回りは4.282%と、5月以来の低水準を更新した。
ウェリントン・マネジメント(ボストン)の債券ポートフォリオマネジャー、ブリジ・クラナ氏は「FRBが現時点で政策スタンスをシフトさせたのは正しかった」と指摘。FRBが2024年末のインフレ率を2.4%と想定している場合、現行のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標5.25─5.50%は極めて高いとし、「このためFRBが来年0.75%ポイントの利下げを実施するのは完全に適切になる」と述べた。
この日発表の米経済指標は、11月の小売売上高(季節調整済み)が前月比0.3%増。市場予想の0.1%減に反して増加した。 もっと見る
また、今月9日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は1万9000件減の20万2000件。市場予想は22万件だった。 もっと見る
終盤の取引で10年債利回りは11.6ベーシスポイント(bp)低下の3.917%。2年債利回りは9.7bp低下の4.384%。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス35.20bpに縮小した。
米金融・債券市場:
<株式> 小幅続伸して取引を終えた。FRBのハト派転換を受け、来年に金利が低下するとの楽観的な見方が高まった。
この日の取引はほぼ終始、方向感の出にくい展開となった。アップル(AAPL.O)は取引時間中の最高値を付けた後、押し戻されて小幅高で引けた。
テスラ(TSLA.O)は4%超上昇し、出来高が370億ドル超に上った。
エネルギーや不動産など、今年アンダーパフォームしてきたセクターが買われた。
FRBは13日まで開いたFOMCで政策金利を据え置いた。パウエル議長はインフレが予想よりも速いペースで低下しているとし、金融引き締めが終わった可能性を示唆。利下げを巡る議論が視野に入ってきたという認識を示した。 もっと見る
投資家は、FOMC声明を受けて8月上旬以降初めて4%を下回った米10年債利回りの動向に注目している。
LPLファイナンシャルのチーフグローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「市場は買われすぎで、特に前日の大幅上昇後では値固めや上げ一服が予想されていた」と指摘。
「市場は金利低下を歓迎する一方、経済見通しを検討する中で、利回りがなぜ4%を下回るのか疑問視する可能性がある」と語った。
米国株式市場:
<金先物> ドル安や米長期金利の低下を背景に買い進まれ、続伸した。2月物の清算値(終値に相当)は前日比47.60ドル(2.38%)高の1オンス=2044.90ドルと、中心限月の清算値ベースで約1週間ぶりの高値となった。
市場では、金相場の先行き見通しについてポジティブな見方が増えており、一部のアナリストからは来年末までに2250ドルに達すると指摘する声も聞かれた。
NY貴金属:
<米原油先物> 需給引き締まり観測が台頭し、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比2.11ドル(3.04%)高の1バレル=71.58ドルだった。2月物は2.19ドル高の71.91ドル。
国際エネルギー機関(IEA)は14日に公表した月報で、2024年の世界石油需要の見通しを日量110万バレル増と、従来見通しの日量13万バレル増から引き上げた。石油輸出国機構(OPEC)は13日付の月報で世界石油需要の見通しを日量225万バレル増に据え置いていた。これを受け、需給が引き締まるとの見方が広がり、原油は買いが優勢となった。
NYMEXエネルギー:
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2023-12-14 22:47:00Z
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