[東京 30日 ロイター] - 日経平均が3月9日以来となる2万円を回復し、1月17日の年初来高値2万4115円95銭から3月19日安値1万6358円19銭まで押した幅の半値戻し(2万0237円07銭)を達成。株式市場は一段とリスクオンに傾斜した。市場では「セル・イン・メイ」の後ずれで、目先堅調な地合いが続くとの見方も出ている。
地合い好転の背景にあるのは、米製薬ギリアド・サイエンシズ(GILD.O)が新型コロナ治療薬候補「レムデシビル」の治験で前向きなデータが得られたと明らかにしたこと。これを受けて、「世界的な経済活動再開を織り込む動きが鮮明になってきた」(野村証券・エクイティ・マーケット・ストラテジストの澤田麻希氏)という。
さらに、中国が全国人民代表大会を来月開催することもプラスに作用した。これについて、東海東京調査センター・シニア・ストラテジストの中村貴司氏は「リーマンショック時に世界を下支えした巨額の財政出動を再度行うとの連想を働かせている」と解説。世界的なスケールでの好材料が重なったことで、外為市場でドル安/円高が進行したことや、緊急事態宣言の延長観測など国内の不透明要因を打ち消した格好だ。
日経平均は一時500円を超す上昇となったものの、大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は「日本の投資家はこの動きについて行けない様子だ」と指摘している。
たとえば、海外では米国でディズニーやアメリカン・エキスプレスなどが、英国ではクルーズ船会社のカーニバルなどがそれぞれ買われ、ロックダウン解除など世界の経済活動再開を本格的に織り込み出した。ところが、国内では、オリエンタルランド(4661.T)が28日に発表した決算と緊急事態宣言延長の可能性が嫌気されて軟化するなど、欧米に比べると経済活動の再開を完全に読んでいるとは言い切れない。
市場では「日本では緊急事態宣言延長の可能性が高くなり、それが様子見を誘い上値を抑える要因になるかもしれない」(野村証券の澤田氏)との声が出ており、感染者拡大のペース、外出自粛などコロナ対策の継続など、中国、欧米に比べて一連の動きの遅行性そのままに、海外の中で株価も出遅れるとの懸念が生じている。
それでも、相場格言に「半値戻しは全値戻し」とあるように、勢いを増してきた株価から、先行きの反騰に対する期待も大きい。
例年5月は、4月に海外投資家が日本株を買う反動から下がるケースが多く、「セル・イン・メイ」と言われている。しかし、今年は「ここまで日本株を買った様子はないため、ここから海外機関投資家が買う可能性が高い。こうした需給面も株価を支える要因になりそうだ」(大和証券の木野内氏)という。
さらに、木野内氏は「米国では、給付金の支給が始まり、それをきっかけに、これまでMMFなどに流れて凍結した格好となっていたマネーが動き出している。流れは完全に変わった」と指摘。東海東京調査センターの中村氏も「気になるドル安/円高も、海外勢の日本株買いによるものであれば、プラスに捉えることができる。いずれにしても、今後は海外の好材料がマイナス面を打ち消すことになるだろう」との見方を示す。ここからの本格反騰を期待する関係者が増えてきた。
編集:石田仁志
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2020-04-30 04:11:36Z
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