宇宙企業・SpaceXとアメリカの通信キャリア大手であるT-Mobileが、SpaceXの衛星インターネット「Starlink」の第2世代衛星を使って、インターネット環境のないへき地でも携帯電話を利用可能にする計画を発表しました。特別な機器や端末を使うことなく、衛星と携帯電話で直接通信を可能にするという構想で、2023年末までにテキストメッセージサービスのテストからスタートする予定だそうです。
Starlink V2, launching next year, will transmit direct to mobile phones, eliminating dead zones worldwide
— Elon Musk (@elonmusk)
SpaceX, T-Mobile to Connect Satellites to Cellphones in Remote Areas - WSJ
https://www.wsj.com/articles/spacex-and-t-mobile-to-connect-starlink-satellites-to-cellphones-in-remote-parts-of-u-s-11661473520
通信施設が整っていないへき地から携帯電話でインターネットにアクセスする場合、陸上無線ネットワークで接続するにはコストがかかる上に、そのコストを黒字化できるほどの有料加入者がへき地に居住していないという問題があります。
衛星電話サービスはこれまでにも存在しましたが、通常は巨大な受信用アンテナを備えた端末や、非常に高価な月額プランを契約する必要がありました。
SpaceXとT-Mobileが発表した新サービスは、Starlinkそのものを携帯電話の電波塔として利用する仕組み。つまり、地上の携帯電話がStarlinkの衛星と直接ミッドバンドの周波数帯で通信を行うため、通信用の設備や端末を新たに用意する必要がなくなります。
SpaceXのイーロン・マスクCEOはテキサス州のSpaceX社有施設で開催されたイベントで、このサービスにはミッドバンド無線通信に対応した第2世代のStarlink衛星が使われる予定だと述べました。通信帯域は狭いため、地上の携帯電話サービスに取って代わるものではなく、インターネットにアクセスできないデッドゾーンをカバーすることを意図していると、マスクCEOは述べています。
マスクCEOによると「T-Mobileとの試みは、携帯電話にとって世界のどこにもデッドゾーンがなくなることを意味します」とのこと。衛星の信号は通信施設がない場所にも届くため、自然災害に見舞われた場所でも基本的なメールのやりとりを可能にするとのこと。
T-Mobileのマイク・シーベルトCEOは「現行のほとんどのスマートフォンがこの新サービスに対応し、最も人気のある月額プランにこの衛星サービスが無料で含まれる見込みです」と述べました。
なお、衛星ではなく成層圏にWi-Fiアンテナ装備の気球を飛ばすという方法で通信インフラが整備されていない地域にもインターネットを提供するプロジェクトを、かつてGoogleが推進していました。このプロジェクトは2018年から独立事業として進められていましたが、「長期的で持続可能なビジネスを構築するだけの低コストを実現できなかった」という理由でプロジェクトは中止されました。
Google発の気球で世界中にインターネットを届ける「Project Loon」が完全シャットダウン - GIGAZINE
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2022-08-26 03:05:00Z
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