2022年度の最低賃金の引き上げ幅(目安)を31円とすることが決まった。目安通りに引き上げられれば全国平均で961円となる。大幅な引き上げの決め手となったのは、ウクライナ危機などによる物価高だ。働く人、そして新型コロナウイルス禍にも苦しむ中小企業への影響は。【奥山はるな、小鍜冶孝志、石田奈津子】
経営者にとっては、物価高に加え、人件費の増加につながる「ダブルパンチ」となりかねない。とりわけ、影響を受けるのが中小・零細企業の経営者だ。
「10月以降は売り上げを月100万円以上増やさないと、現在の利益を保てない」。東京都内で夫とコンビニエンスストアを営む50代の女性は嘆く。物価高の影響で売り上げを増やす必要があるが、景気も伸び悩む中、目標達成は至難の業だ。
大手チェーンとフランチャイズ契約を結び、経営を始めたのは16年8月。当時、907円だった東京都の最低賃金は、21年度に1041円にまで上昇した。人件費負担に加え、今年に入って経営を圧迫しているのが食料品価格の上昇だ。
プライベートブランド商品のから揚げやスナック菓子、カップラーメンなどの仕入れ値がじわじわと上がる中、本部が推奨する売値を簡単に引き上げられず、価格転嫁できない分はのみ込まざるを得ない。燃料費の高騰からくる電気料金の値上げも、常に明るく、エアコンの利いた環境を維持するコンビニにとって痛手だ。
これら経費の上昇分を負担するのは、本部ではなく、個人事業主であるオーナーだ。経営改善について本部のスタッフに相談すると、自らシフトに入って人件費を削るように勧められた。連日、早朝に商品を並べ、休憩を挟んで午後から店に立つ。
手取りは夫婦合わせて月20万円に届かない程度だ。女性は「時給換算すると、最賃どころでなく530円の時期があった」とぼ…
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2022-08-01 13:13:03Z
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