いつもは「Googleさん」でGoogleの話をしていますが、今日はその番外編「Amazonさん」です。AmazonがiRobotの買収を発表したので。
世間では「これでAlexaに掃除を頼めるね」と歓迎する声もあります(すでにできてます)が、プライバシーを気にする向きはAmazonの主な目的はiRobotのお掃除ロボット「ルンバ」が足(タイヤ?)で稼いだ屋内マップ(間取り図)だろうと思っています。iRobot買収の発表文には一言も書かれていませんが。
買収は、規制当局の承認がないと完了しません。Amazonはオリジナルのお掃除ロボットは販売していないので、独禁法的にはセーフでしょうが、1企業に個人データが集中することに常に反対しているAmazonの天敵で連邦取引委員会(FTC)委員長のリナ・カーン氏が黙っていないのではないでしょうか。
最近のルンバをお持ちの方はご存じだと思いますが、ルンバくん、まず家の中を動き回って間取りを覚えます。最新モデルのj7+にはAI搭載のカメラがついていて障害物や家具などを把握し、その結果をクラウドに貯めます。障害物などのルンバくんの成長に役立つデータは、世界中のj7+と共有されます。
ユーザー宅の間取り図は、Amazonにとって垂涎のデータです。Alexaで人の声や好みを把握し、監視カメラ「Ring」で屋内外の画像を入手し、ルンバで間取りも掌握する。ああ、Wi-Fiメッシュルータeeroも持っています。
Amazonは、Ringの多数の画像/映像データを当局から求められ、提供したという記事がありました。企業はよほどのことがなければ裁判所などからの請求に応じることになっています。
お掃除できそうでできないロボットAstroはどうなる?
そういえば昨年秋にAmazonが家庭用ロボット「Astro」を発表した際、なんでお掃除できるようにしなかったんだろうと思いましたが、そのころからiRobot買収を考えていたのだったりして。
Astroくんも、最初に家の中を歩き回って間取りを把握します。そういえば家の中を飛び回るドローン監視カメラ「Ring Always Home Cam」もあります。
なんでそんなにデータが欲しいのか。集めたデータに基づいて「居間のソファが大きすぎるから、こんな素敵な最新デザインのものに買い替えたら?」とAlexa搭載スマートディスプレイに言わせたいのかも?
Amazonは、「アンビエントインテリジェンス」の提供を目指していると自ら言っています。Amazonによる定義では、アンビエントインテリジェンスとは「複数の端末とサービスがAIを介して相互接続された環境」だそうです。「複数の端末」にルンバくんも参加するということですね。
さらに「このパラダイムでは、AIはユーザーの環境の状態とユーザーの好みを理解し、ユーザーが必要なときにユーザーを支援」するとあります。
たぶん、すごく便利だと思います。でも、Amazonさんが何でも知っている状態だということを気持ち悪いと思う人もいるでしょう。
ルンバを買った人は、お掃除目的だけのための間取りデータ提供に同意しただけで、それをそのままアンビエントインテリジェンスに流用されたくはないかもしれません。
そういう流れで、この買収の完了には時間がかかるんじゃないかなと思います。
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2022-08-07 00:30:00Z
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