オンラインで年次開発者会議「WWDC」に臨んだアップルのティム・クックCEO=ロイター
【シリコンバレー=佐藤浩実】米アップルは22日、パソコン「Mac(マック)」に自社開発のCPU(中央演算処理装置)を搭載すると発表した。2006年に米インテル製を採用して以来、約15年ぶりの切り替えとなる。消費電力を抑えやすくなるほか、すでに自社開発の半導体を搭載するスマートフォン「iPhone」などと連携させやすくする。
22日にオンライン配信した年次開発者会議「WWDC」で発表した。
まず20年末までに発売するMacの新製品の一部に、自社開発のCPUを搭載する。その後、約2年かけて全機種のCPUを自社製に切り替えるという。半導体設計を支援する英アーム・ホールディングスと組み、生産は台湾積体電路製造(TSMC)に委託するもようだ。
Mac向けCPUの内製化を発表するティム・クックCEO(写真はウェブ中継より)
ティム・クック最高経営責任者(CEO)は22日、自社開発CPUへの切り替えにより「ソフトとハードをより基礎的な部分で統合できる」と述べた。電力消費が少なく処理性能の高いパソコンを作りやすくなるほか、人工知能(AI)やセキュリティーの機能も加えやすくなるという。
すでに自社製のCPUを採用しているiPhoneやタブレットの「iPad」などとも連携しやすくなる。
アップルがマックのCPUを変更するのは、米IBMなどと共同開発した「パワーPC」をインテル製へと切り替えた06年以来だ。前の年の開発者会議で移行計画を明かしたスティーブ・ジョブズCEO(当時)は「作りたい製品があるが、パワーPCの開発ロードマップでは対応できない」と説明。パソコン向けCPUで大半のシェアを握っていたインテル製の採用を決めた。
今回も、インテルの製品開発や供給計画がアップルの期待に沿わなくなってきたのが一因だ。米メディアによれば、アップルは内製する半導体をTSMCが持つ回路線幅5ナノ(ナノは10億分の1)メートルのプロセスを利用して生産するもよう。半導体の処理性能を左右する「微細化」の競争で、インテルはTSMCや韓国サムスン電子の後じんを拝している。
さらに、アップル製品のなかでインテル製のCPUは「例外」となっていた。iPhoneやiPad、腕時計型端末「AppleWatch(アップルウオッチ)」などはアームと組んで自社開発した半導体を載せている。
アップルは22日にMacの基本ソフト(OS)をiPhoneなどのOSデザインに近づける計画も発表。Macの半導体を自社開発することで、今後はアプリの要素技術も含めて連携させやすくなる。CPUの移行プロジェクトも数年前から「公然の秘密」だった。
半導体産業に詳しいアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は「(切り替えは)見返りだけでなくリスクもある」と指摘する。アップルは開発者が混乱なく移行できるソフトを提供する考えだが、アプリによっては移行に手間取る可能性があるという。
アップルの動きは、インテルにとっては逆風となる。ただ、米調査会社のIDCによれば19年の世界出荷台数が約2億6700万台だったパソコン市場で、アップルのシェアは7%弱。19年に720億ドル(約7兆7千億円)だったインテルの売上高に占めるMac関連の販売比率は5%以下とみられる。インテルも近年はデータセンター向けの半導体に投資を振り向けている。
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2020-06-22 19:52:19Z
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