■脱日本化はその後どうなったのか 韓国の半導体産業の「脱日本化」の行方は今、どうなっているのでしょうか。「日本の誇るべき技術」をそう簡単に代替できるのでしょうか。昨年7月1日に、経済産業省が「ホワイト国」から韓国を除外する方針を示すとともに、特定品目である、フッ化ポリイミド、フォトレジスト、フッ化水素を包括輸出許可から個別許可に切り替えると発表しました。これを受けて、韓国の文在寅大統領が日本への依存度が高い素材・部品部門の国産化を進め「脱日本」を強調し、輸入品の日本依存からの脱却を図り、「国産化」を模索することとしていました。あれから1年を迎えようとしています。「脱日本化」は成功したのでしょうか。 【この記事の画像を見る】 韓国政府は昨年7月1日の措置を、日本政府による徴用工問題などに対する事実上の報復措置として受け止めて反発し、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄やホワイト国からの日本除外、WTO(世界貿易機関)への提訴などの事実上の対抗措置をとるにいたりました。韓国内でボイコットジャパン、日本製品の不買運動や日本への旅行自粛が広がり、日韓関係は国交正常化後で最悪ともいえる状況に至りました。
■韓国半導体産業の日本依存度は非常に高い 輸出管理の強化以前の韓国半導体産業の日本依存度は非常に高いです。2019年のJETROの「貿易量で見る韓国半導体産業の日本依存度」のデータによると、韓国貿易協会が19年7月2日に「日本半導体素材輸出規制関連統計」を発表しており、輸出審査が必要となる3品目(フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミド)について、19年1~5月のフッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミドの対日輸入依存度は、それぞれ43.9%、91.9%、93.7%だったことを公表しています。 日本のレジストの技術はそう簡単に代替できるようなものではないのです。半導体の微細加工工程で使われるEUV(極端紫外線)向けのフォトレジストは日本企業が世界でも圧倒的に強く、世界市場の約9割を占めており、JSR、東京応化工業、信越化学工業、住友化学、富士フイルムなどが主要メーカーです。 ■現実問題、脱日本が難しい「レジスト」 フォトレジストの品質の高さには歴史があります。レジストと一緒に用いる重要な装置である露光装置について、1980年代以降キヤノンやニコンといった日本メーカーが急速に技術力を高め、米国メーカーを超えるまでに至りました。この露光装置の発展とともに、日本メーカーのフォトレジストの品質が高まっていった背景があります。その後、露光装置自体はオランダのASMLなどの台頭により、日本企業の存在感はなくなりましたが、フォトレジストに関しては、なおも日本メーカーが独占的地位を保ち続けています。 19年1~5月時点での、レジストの対日輸入依存度は91.9%と非常に高いです。対韓輸出管理強化後のレジストの輸入の動きを見ると19年7月に駆け込み需要で日本からの輸入額が急増した後、しばらくは減少しましたが、最近では、輸出管理の強化前とほぼ同じ水準に戻っています。変化があるとすれば、全体に占める割合は極めて小さいものの、ベルギーからの輸入額が増加するなど、日本以外からの輸入先を増やす動きがありますが、依然、日本依存の形からは脱却できていません。日本のシェアは、いまだ9割近い高いシェアを維持していることから、レジストの「脱日本」は難しいと言えます。
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2020-06-29 09:25:00Z
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