エアバスはドイツなどで人員削減する(同社独工場)=ロイター
【パリ=白石透冴】欧州エアバスは30日、世界の人員の11%に当たる1万5千人を2021年夏までに削減すると発表した。同社にとって過去最大のリストラとなる。新型コロナウイルスの流行で航空需要は早くても23年まで元に戻らないとみており、抜本的な対策が必要と判断した。
内訳はドイツで5100人、フランスで5000人、英国で1700人など。自主退職や早期退職などを促すとしており、20年秋にも削減が始まる。削減幅は07年に打ち出した約1万人を上回り、最大となる。
ギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)は同日、「航空業界の回復は遅々としており、力強さを欠く。当社の未来を守らなければいけない」との声明を発表した。
同社によると、コロナ禍が深刻になったここ数カ月、商用機の生産ペースは計画の6割に落ち込んでいる。顧客である航空会社は軒並み激しい需要減に直面し、エアバスの受注と引き渡しに打撃を与えている。
同社は19年の水準の航空需要が戻るのは「早くても23年、遅ければ25年」だとみている。感染を懸念する消費者が利用を避け、市場が長期的に冷え込む恐れがある。航空会社は業績や財務基盤が悪化しており、機材購入の余力を取り戻すには時間がかかりそうだ。
仏政府は航空業界が自力で危機を乗り切るのは不可能だと考えており、9日には150億ユーロ(約1兆8千億円)を支援すると発表した。業界の中小企業向け基金や、各社のデジタル化を助ける基金をつくる。仏蘭エールフランスKLMへの70億ユーロの借り入れ支援も含む。
米ボーイングも4月、全従業員の1割に当たる1万6千人の削減を発表した。資金確保を優先するため、ブラジル・エンブラエルとの事業統合も撤回した。「737MAX」の墜落事故後の対応も重荷となっている。
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2020-06-30 20:39:15Z
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