【カイロ=久門武史】石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は2日、現行の原油増産を2022年1月も続けると決めた。毎月日量40万バレルずつ増産する従来の方針を維持する。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」による需要減を警戒し増産を停止する案も取り沙汰されたが、見送った。ニューヨーク市場の原油先物は同日、需給の緩みを警戒した売りで一時、前日比5%下落した。
現行の原油増産ペースを維持するのは、増産を訴えてきた米国など消費国との摩擦を避けるのが得策と踏んだためだ。11月に米国が日本や中国、インド、韓国、英国と国家備蓄の一部放出に動いたのを受け、産油国側には増産の見直し論も浮上していた。
バイデン米政権が主導した備蓄放出の発表直後に増産停止を打ち出せば、消費国との対決色が強まるとの判断が働いたもようだ。10月に原油相場が7年ぶり高値まで上昇するなかでも、OPECプラスは米国などが求めた追加増産を重ねて拒んできた経緯がある。
増産をやめれば相場に上昇圧力がかかり、インフレを懸念する消費国の反発が高まりかねない。新型コロナ禍から回復しようとする世界経済の足かせとしてやり玉に挙がるのを避ける思惑もあったとみられる。
サキ米大統領報道官は11月30日に「我が国は需要に見合った供給を期待していると伝え続けている」と改めてけん制していた。ナイジェリアなど一部のOPEC加盟国で生産能力が低下し、現行の増産でさえ計画に届かない事情もあった。
半面、OPECプラスはオミクロン型の拡大を警戒する姿勢も強調した。2日にオンラインで開いた閣僚協議後の声明で「市場を注視し続け、必要なら直ちに調節する」とした。次回協議は2022年1月4日に開く。
OPECはかねて、22年には原油の供給が需要を上回るとみていた。世界の需要は例年、ガソリン消費や暖房機器の燃料向けが増える12月にかけて拡大する一方、1月は減りやすい。ロイター通信によるとOPECは内部分析で1月の供給過剰が日量200万バレル、2月は340万バレル、3月は380万バレルに膨らむと予測する。オミクロン型の影響でアフリカや欧州を中心に航空燃料の需要がしぼむとみる。
ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は増産継続の情報を受けて急落した。10月の高値と比べて2割以上安く、歳入を石油輸出に頼る産油国にとっては苦渋の決断だったともいえる。市場では22年1月のOPECプラス協議で増産見送りなどの措置を打ち出すとの見方が多い。
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2021-12-02 17:28:40Z
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