関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社との経営統合を巡り、大阪高裁は7日、関西スーパーの抗告を認め、統合手続きを差し止めた神戸地裁の仮処分決定を取り消した。地裁の司法判断を覆した形で、関西スーパーは手続きを進めることができる。差し止めを求めた食品スーパーのオーケー(横浜市)側の今後の対応が焦点となる。
関西スーパーは同日、高裁の決定を受け、「臨時株主総会の決議が適法かつ公正に行われたと裁判所に理解された結果であり、正当な判断が示された」とのコメントを出した。同社はH2O子会社との株式交換を当初予定の12月1日から15日に2週間延期すると発表しており、15日に株式交換を実施する。H2Oも「株式交換に向けて粛々と手続きを進める」とした。
関西スーパーの臨時株主総会は10月29日に開かれ、同社とH2O系スーパー(イズミヤ・阪急オアシス)の統合に関する株式交換議案が可決に必要な3分の2をわずかに上回る66.68%の賛成で承認された。
神戸地裁、大阪高裁の審理の争点は、投票終了後に投票内容を株主の希望に応じて「棄権」から「賛成」に変えた手続きが妥当か否かだった。
大阪高裁の決定が重視したのは、総会において議長は株主の意思を正確に把握し、議決に反映させる責務があるという点だ。
植屋伸一裁判長は決定理由で、当該の株主が事前に賛成の議決権行使書を送付しており、総会会場で棄権とみなされる白票を誤って投票したと指摘。「株主の意思が投票用紙と異なっていたと明確に認められ、賛成票として扱うことは許容される」とした。その上で、統合議案に関する決議について、「可決要件を満たし有効で、その方法が法令に違反するとも、著しく不公正であるともいえない」と結論づけた。
神戸地裁の11月22日付の仮処分決定では「用紙を回収箱に入れた以上、軽微かつ形式的な誤りだったとしても訂正できない」と指摘。「決議の方法に法令違反または著しい不公正がある」として、オーケー側の申し立てを認めて手続きの差し止めを命じた。関西スーパーの異議申し立てに対し、同地裁は同26日に改めて差し止めを認めた。関西スーパーは同地裁の判断を不服として、大阪高裁に抗告していた。
(安田龍也、蓑輪星使)
大阪高裁の決定要旨
関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社との経営統合を認めた7日の大阪高裁の決定要旨は次の通り。
【株主総会の決議の方法】
議長の裁量に委ねられており、今回の総会では、当日出席した株主による議決権行使は投票用紙(マークシート式)での投票の方法によることとした。株主の意思を正確に反映し議決の公正を確保するのが趣旨で、議長は投票内容を投票用紙の記載・不記載や提出・不提出により客観的に判定することが第一義的に求められる。
投票用紙によって株主が意思を正確に表明するには、投票ルールがあらかじめ周知され、理解していることが必要だ。周知や説明がされておらず、株主が誤認したことがやむを得ないと認められる場合は、議長が投票用紙以外の事情も考慮して株主の投票内容を把握することも許容されると解するのが相当だ。
【結論】
当該株主は総会前に本件議案に賛成する旨の議決権行使をしていたが、総会に出席した場合、事前の議決権行使は撤回され、改めてその場で投票用紙に記入して投票する必要があった。投票の際、議決権行使が撤回されておらず効力を有すると誤認したため、二重投票を避ける趣旨で白紙のまま投票用紙を投票箱に入れた。このようなルールは総会であらかじめ周知も説明もされておらず、総会で投票用紙による投票をすることもまれで、当該株主が誤認したことはやむを得ない。
回収に来た係員とのやり取りなど投票用紙以外の事情も考慮すると、誤認により株主の意思が投票用紙と異なっていたと明確に認められ、議長が賛成票として取り扱うことも許容されるというべきだ。従って決議は可決要件を満たし有効であって、その方法が法令に違反するとも、著しく不公正であるともいえない。
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2021-12-07 10:05:24Z
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