【ニューヨーク=宮本岳則】米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けた29日の外国為替市場では、ドル安が一段と進んだ。ドルの総合的な強さを示すドル指数は93台前半まで下げ、2018年6月以来、約2年ぶりの低水準で推移した。株式市場ではダウ工業株30種平均は反発した。金融緩和が長期化するとの見方が広がっている。
29日の外国為替市場では、米ドルが主要通貨に対して売られた。対ユーロでは反落し、1ドル=1.1805ユーロまで売られる場面があった。18年9月以来のユーロ高・ドル安水準だ。円相場も一時、1ドル=104台後半をつけた。米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出するドル指数は一時、93.16まで下がり、18年6月以来の低水準で推移する。
足元でドル安傾向が続いている。米議会で新型コロナウイルス対策の成立が遅れており、景気への悪影響が懸念されている。米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和の長期化観測や米中対立の激化など、ドル売りにつながる材料が重なったことも大きい。
パウエルFRB議長は29日、FOMC後の記者会見で「できる限りの手段を使うことを約束する」と述べた。FOMCの声明文やパウエル氏の発言を受けて、市場は「景気が回復するまで強力な緩和を続けると受け止めた」(米プルデンシャル・ファインナンシャルのクインシー・クロスビー氏)という。
ドルの先安観が台頭するなか、マネーは金に向かった。ニューヨーク先物価格は中心限月の8月物が時間外取引で1トロイオンス1970ドル台まで上昇し、再び最高値を更新した。国家の信用力に依存しない「無国籍通貨」である金は、世界の基軸通貨であるドルの下落局面で代替資産として買われやすい。「カネ余り」で投機的な資金が流入している面もある。
29日の米国株式市場では、ダウ平均が前日比162ドル29セント(0.60%)高の2万6539ドル57セントで終えた。パウエル議長の「ハト派」姿勢が再確認できたことで、記者会見中から取引終了時間にかけて上げ幅を広げる場面があった。アップルやアマゾン・ドット・コムといったハイテク企業の経営トップが反トラスト法(独占禁止法)調査を巡る米議会公聴会に出席したが、株価に影響を及ぼす悪材料は出なかった。
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2020-07-29 20:12:27Z
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