終電まぎわの列車に揺られ、斎藤泰臣(やすおみ)さん(43)はひとりぼんやりとしていた。窓ガラスの向こうを夜が流れてゆく。横並びのシートには数人が座っていた。サラリーマンやイヤホンをつけた若い人。車内にはレールの音だけが響いていた。
JR長崎線。佐賀県内の自宅へ帰る途中だった。数年前の暮れのことだ。
やがて、小声の会話が斎藤さんの耳に入ってきた。
「病院まで遠い……」「さいごの会話に……」
近くに座っていた60代くらいの男女。夫婦だろうか。2人で携帯電話を見つめている。
「電話した方がよかよ」「迷惑になる。駅に着いてからでよかやん」
せかす妻。周囲を気にする夫。列車は音を立て、走り続ける。2人の声も少しずつ大きくなった。
「意識がなくても耳は聞こえるって。おとうさん、待っとるよ」「列車だから、かけられんやん」
夫の父親が危篤で、駆けつけよ…
980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiN2h0dHBzOi8vd3d3LmFzYWhpLmNvbS9hcnRpY2xlcy9BU043SzVGMzFON0ZVVElMMDFULmh0bWzSATtodHRwczovL3d3dy5hc2FoaS5jb20vYW1wL2FydGljbGVzL0FTTjdLNUYzMU43RlVUSUwwMVQuaHRtbA?oc=5
2020-07-18 10:00:00Z
CAIiEMAWNX1sAK1gS1X--KigwucqGQgEKhAIACoHCAowu5iVCzD096oDMIT0zwY
Bagikan Berita Ini
0 Response to "列車内でもかけてください みな願った「さいごの電話」 - 朝日新聞デジタル"
Post a Comment