【ニューヨーク=野一色遥花】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3万8904ドルと、前週末比で903ドル安い水準で引けた。週間の下落幅は米有力地銀が破綻した2023年3月以来、約1年1カ月ぶりの大きさを記録した。根強いインフレ圧力や原油高により米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後退。長期金利上昇を通じて株式相場の重荷となった。
5日発表の3月の雇用統計は、非農業部門の就業者数の伸びが市場予想を上回って好調な雇用環境を示す一方、平均時給の伸びは前年同月比4.1%上昇と前月の伸び(4.3%)から鈍化した。賃金インフレへの警戒感を一段と高めることなく「非常に良い結果」(米PNCフィナンシャル・サービシズ)との受け止めが多い。
投資家心理を支える要因となり、5日のダウ平均は5営業日ぶりに反発し、前日比307ドル高で終えた。ただし、前日の約530ドルもの下げ幅を埋めるには至らなかった。インフレ再燃への警戒感がくすぶっているためだ。
1日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が1年半ぶりに「好況」水準を回復するなど、金融引き締めが続く中でも米景気は好調さを保つ。金融緩和への転換が早すぎると経済過熱でインフレ再加速を招きかねない。
FRBのパウエル議長は3日、利下げ開始後に金融引き締めのやり直しを迫られれば「かなり破壊的なことになる」と述べた。利下げを急ぐべきでないとする発言は他のFRB幹部からも相次ぐ。
5日の米債券市場では長期金利の指標になる10年物国債利回りは前日比0.09%高い(価格は安い)4.40%で終え、約4カ月ぶりの高水準にある。10日発表予定の3月の消費者物価指数(CPI)の結果次第では利下げ観測がさらに後退する可能性もある。
地政学リスクの高まりもインフレ沈静化を阻む。1日にシリアにあるイラン大使館周辺への空爆やイスラエルと米国の関係悪化などが重なり、原油高が進んだためだ。
米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は5日、一時1バレル87ドル台半ばと約5カ月半ぶりの高値をつけた。米証券会社ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は「実際に原油供給に影響が出れば、株式市場にさらに大きな打撃となりうる」と指摘していた。
S&P500種株価指数の業種別指数でみると、週間の下落率が大きかったのは「ヘルスケア」(3.1%安)や「不動産」(3.0%安)。一方で原油高を背景に「エネルギー」は3.9%高となった。
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2024-04-05 23:01:53Z
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