【ニューヨーク=斉藤雄太】2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比505ドル(1.5%)安の3万2147ドルで取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が同日、利上げの停止時期を考えることは「かなり時期尚早だ」と指摘。政策金利の水準が従来の想定以上に高くなる可能性も示唆したことで、景気の一段の冷え込みを懸念する投資家の売りが広がった。
FRBが同日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の3倍となる0.75%の利上げを4会合連続で実施すると決めた。一方、FOMC後に公表した声明文には、今後の利上げペースについて「金融政策が経済活動や物価に影響を及ぼすのに時間差がある点を考慮する」と明記。市場では、早ければ12月の次回会合で利上げ幅が縮小されるとの期待が先行し、ダウ平均は一時400ドル以上高くなる場面もあった。
株売り圧力が強まったのは米東部時間午後2時半からのパウエル議長の記者会見開始後だ。今後の利上げを巡り、引き上げ幅の縮小よりも最終的な到達点や引き締め政策をいつまで続けるかのほうが重要な問題になったという認識を示した。
利上げの到達点については、9月会合時にFOMC参加者の中央値で2023年中に4.6%との予測を示している。だが、パウエル議長は最近の物価・雇用指標が「最終的により高い金利水準に移行する可能性を示唆している」と発言。利上げの早期打ち止め観測も退けた。
資産運用会社RBCグローバル・アセット・マネジメントの米債運用部門責任者、アンドレイ・スキバ氏は「利上げペースは遅くなるが、より長期間続くというメッセージを送った」と話す。「23年後半にFRBが金融緩和に転じ、(景気や市場の)救済に動くという期待も遠のいた」と指摘し、投資家のリスク回避姿勢が強まった。
米株市場では10月にFRBの利上げペースの減速期待が高まり、ダウ平均は10月の月間上昇率が14%と46年半ぶりの大きさを記録した。この日のパウエル議長会見で、FRBが引き締めに積極的なタカ派姿勢を維持していることを確認し、反動が出やすかった面もある。2日は金利上昇に弱いハイテク株の売りが目立ち、ナスダック総合株価指数の下落率は3%以上になった。
金利や為替相場も乱高下し、米債券市場では政策金利の動きに敏感な2年物国債利回りが一時4.4%台半ばに低下(価格は上昇)した後、4.6%超まで上昇した。対ドルの円相場は一時1ドル=145円台後半まで円高・ドル安が進んだ後、2日夕には147円台後半まで戻した。
JPモルガン・チェースの米国担当エコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「FRBは金融環境を緩和することなく、次回会合で利上げ幅を縮小する道を開いた」と指摘する。FRBは急な利上げを続けて深刻な景気後退を招くことを警戒する一方、株高や金利低下などで金融情勢が緩み、インフレ抑制が難しくなる事態も回避しようとしている。微妙なバランスを取りながらもタカ派姿勢は維持したことで、米株相場の上値を重くしそうだ。
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2022-11-02 20:16:47Z
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