ITmedia Mobileでは、NTTドコモの吉澤和弘社長の単独インタビューを実施。5G契約の状況から楽天モバイル、サブブランドへの考え方、モバイル決済関連まで幅広くお話をうかがった。今回は、テーマごとに分けて記事を掲載していく。
年内にエントリー5Gスマートフォンを発売する
まず注目したいのが、5G契約の状況だ。ドコモは2020年3月に5Gの商用サービスをスタートさせたが、その直後に新型コロナウイルス感染症によるショップの時短営業や端末物品の納入遅れなどから、4〜5月はLTEも含めて端末の売れ行きが伸び悩んだ。一方、緊急事態宣言が解除された6月以降は盛り返しており、対前年比では端末の売れ行きは伸びているという。
5Gの契約数は4月末時点で4万弱、直近では17万にとどまるが、「だいたい想定通り」と吉澤氏。「5G端末は(AQUOS R5GとGalaxy S20 5Gの)2機種から始まって、順次増えていってルーターも出した。6月中旬に、Xperia 1 IIを出してからグッと増えてきた」と現況を話す。一方で「5Gはフラグシップモデルが高いということもあり、エントリーモデルを2020年後半に出す」と予告する。
「エリアの拡張もそれなりに付いてくるので、2020年度内に250万(契約)で考えている」と見通しを話す。この「250万」という数字は「iPhoneの5Gも考慮に入れている」と吉澤氏。5G対応のエントリーAndroidとiPhoneが、5G契約を伸ばすカギを握っているといえる。
ここでいうエントリーモデルはミッドレンジモデルと同義だと思われるが、他キャリアを見るとauがZTEとXiaomi、ソフトバンクがOPPOのミッドレンジ5Gスマホを取りそろえている。いずれも発売は7月(下旬)以降で価格は未発表だが、4万〜5万円程度になるのではないかと予想される。ドコモはZTEの製品は取り扱ってきているが、XiaomiとOPPOは未導入だ。
こうした中国メーカーも検討候補には入っているそうで、「中国ベンダーからも情報提供や提案を受けているので、そういった中で決めていく。ドコモの中で受けるものでないといけないので、総合的に見て対応する」と吉澤氏。「ソフトバンクやauが扱っているものがどのぐらい売れるのかが分からないが、そういう情報もあれば」と言う通り、他社の動向も見ながらの判断になるのかもしれない。
一方、吉澤氏が「チップの関係もある」と話すように、Snapdragonのミッドレンジ向け5Gプロセッサ「Snapdragon 690 5G」にも興味を示す。Snapdragon 690 5G搭載端末は2020年後半に発売される見込みで、ドコモに納入実績のあるメーカーではシャープやLGエレクトロニクスがSnapdragon 690 5G搭載スマホの開発を表明しており、これらメーカーの安価な5Gスマホがドコモから登場する可能性が高い。
中国メーカーの製品といえば、2018年は「HUAWEI P20 Pro」、2019年は「HUAWEI P30 Pro」といったHuaweiのスマートフォンをドコモは扱ってきたが、米国の制裁を受けた影響で2020年の「HUAWEI P40 Pro 5G」をはじめとするP40シリーズは取り扱っていない。Googleのサービスを使えない影響が大きく、「制裁対象となっているベンダーの製品は扱えない」という方針は変わっていない。一方、「ほとんど在庫はないとは思うが、既存の端末は販売を続け、修理対応もする」とした。
ミッドレンジLTEスマホやiPhone SEが3Gからの移行先に
6月25日にはLTEのミッドレンジモデル「Xperia 10 II」「arrows Be4」「Galaxy A41」「LG style3」を一斉に発売したが、こうしたミッドレンジモデルの比率は増えているという。理由は明確で、2019年10月に改正された電気通信事業法で、端末の購入補助が制限されたため。
こうしたミッドレンジモデルは3Gから移行先としても有力候補になるが、コロナ禍でシニア層の来店が減った影響で、3Gからの移行も伸び悩んだ。しかし6月以降、来店数は(時短営業前と比べて)8割以上戻っているそうなので、ここから挽回していく考え。シリーズの中でも4万円台からと安価な「iPhone SE(第2世代)」も「予約がけっこう入っている」(吉澤氏)と好調のようで、スマホデビューに勧めやすい端末といえる。
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「5Gギガホ」の正式な“無制限化”は間もなく?
5Gでもう1つ注目したいのが「料金プラン」だ。ドコモは大容量プランの「5Gギガホ」と段階制の「5Gギガライト」の2つを提供している。両プランの契約比率は半々だそうで、ドコモの見立てでは「ギガホがもう少し少ないと思っていた」そうだ。5Gで大容量のデータを使うのなら5Gギガホ一択ともいえるが、5G対応のコンテンツがさらに増えてくれば、5Gギガホの比率も増えるのではと吉澤氏は期待を寄せる。
5Gギガホは100GBまでのデータ容量を利用できるが、現在はキャンペーンで無制限に利用できる。吉澤氏は「場合によっては(正式なプランとして)アンリミットにするという判断をどこかでする」と言う。しかし無制限プランにすると、常時接続などで大容量のデータ通信を行うユーザーが出がちだが、現在、ドコモの設備に影響を与えるほどの悪質な通信はないという。
気になるのは“無制限”が正式プラン化するタイミングだが、「(5Gギガホの)稼働が10万弱なので、もう少し数が取れて、第1四半期決算あたり(例年通りなら7月下旬)で言えるかどうかだと思う」と吉澤氏は見立てる。
月間はもちろん、3日間などの通信制限はない5Gギガホは、固定回線の代替にもなり得る。特に4月以降は大多数の企業がテレワークに切り替えたことから、モバイル回線に与えるトラフィックも気になるところだが、「テレワークでデータトラフィックが増えたというのは明確なデータはない」と吉澤氏。LTEの「ギガホ増量キャンペーン」で30GBから60GBに増やしたときはトラフィックが「グッと増えた」そうだが、コロナがトラフィックに与えた影響はほぼないようだ。
※次回は楽天モバイルやサブブランド関連のテーマを聞きます。
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2020-07-09 11:42:00Z
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