【ニューヨーク=大島有美子】大手格付け会社フィッチ・レーティングスは1日、米国の格下げを発表した。外貨建て長期債務格付けを最上位の「トリプルA」から1段階低い「ダブルAプラス」に引き下げた。今後3年間で予想される財政悪化や、債務上限問題を巡る政治の混乱を理由にあげた。
フィッチは格下げについて、米政府の債務負担が増える見通しに加え、債務上限の引き上げを巡る「度重なる政治の膠着と土壇場での解決が示す(米国の)ガバナンスの低下」を反映したと説明した。
米ブルームバーグ通信によると、フィッチは少なくとも1994年以来、米国の格付けを最上位で維持してきた。
イエレン財務長官は同日、「フィッチの決定は恣意的で、古いデータに基づく」と反論する声明を発表した。米政府のガバナンス低下を指摘されたことに対し「債務上限対応、インフラ投資、競争力強化に向けた投資の法案を超党派で可決するなど、改善をみせている」と強調した。
イエレン氏は「米国債は世界有数の安全で流動性の高い資産であり、米経済が堅調なことに変わりはない」と加えた。バイデン米政権が財政赤字を削減する政策をとっている点も強調した。
債務上限問題で米政権と野党が対立した2011年は、両者の合意から3日後に大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(現S&Pグローバル)が米国の格付けを最上位から「ダブルAプラス」へ1段階引き下げた。市場は動揺し、世界的な株安が進行した。
米政府の債務残高は膨張を続けており、法定上限の引き上げはその都度議会の承認が必要だ。引き上げに失敗すれば国債の元利払いができないデフォルト(債務不履行)に陥る。5月には、デフォルトが懸念される直前の時期まで交渉が難航した。
6月には2025年1月まで上限を停止することで最終決着した。もっとも24年11月の大統領選を経て誕生する新政権は再び同様の問題に直面する。イエレン氏は決着後、議会で「(与野党の駆け引きを)常態化させてはならない」と強調した。
フィッチは5月下旬、上限引き上げを巡る混乱を受け、米国の格付け見通しを「ネガティブ」とし、状況次第で格下げの用意があると警告していた。
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2023-08-01 22:02:28Z
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