日本取引所グループ(JPX)は30日、傘下の東京証券取引所の宮原幸一郎社長が同日付で辞任すると発表した。JPXの清田瞭・最高経営責任者(CEO)が東証社長を兼務する。10月に発生した大規模システム障害につい金融庁から業務改善命令を受けたことで責任の所在を明確にする。
金融庁はこの日の業務改善命令でメモリー故障はやむを得ないとしながら、問題が起きた際に早期に再開する準備ができていなかったことを特に問題視した。システム管理体制強化などの再発防止策徹底と経営責任の明確化を求めた。金融庁は東証に年内を皮切りに3月までは毎月、その後は3カ月ごとに改善の進ちょくの報告を求める。
業務改善命令は2004、05、12年に続いて約8年ぶり4度目。東証は10月1日、相場情報の配信障害で株式全銘柄の取引を初めて終日停止、過去最悪のシステムトラブルだった。
JPXは7月に証券と商品を扱う総合取引所の体制を整えたばかり。日本政府が国際金融センター強化を目指す中で、証券取引の中核を担う東証のトップが退くことになる。取締役会で宮原社長を解任すべきという意見はなかったが、本人から社長辞任の申し入れがあった。宮原氏は電源開発(現Jパワー)を経て88年東証に入所、15年6月に清田氏の後任として東証社長に就いた。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、トップ交代でどうかなるというのはないとしながら、責任の明確化がされればすっきりする面もあるとした。バックアップや売買発注した後に止める、止めないといった想定ができていなかったという面では危機意識が薄かったとしている。
清田CEOについては、12月から4カ月間は月額報酬50%減額とする。記者会見した清田氏は「JPXとして業務改善命令を真摯、厳粛に受け止める」と述べた。システムを作成した富士通については、専門家からは責任があるとの指摘があるが、「損害賠償を求めることはない」とした。宮原氏については「東証にとって大変大きな流出」と指摘、新しい社長適任者が見つかれば随時交代すると述べた。
(第2段落に金融庁、第3段落に宮原氏の記述を追加して更新します)
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2020-11-30 06:08:00Z
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