金融庁は23日、東京証券取引所の市場再編に向けた有識者懇談会の内容を投資家に漏らしたとして、今月中にも野村ホールディングス(HD)と野村証券に金融商品取引法に基づく業務改善命令を出す方針を固めた。野村証券は2012年にも上場企業の公募増資を巡るインサイダー取引で処分を受けており、金融庁は情報管理の徹底を求める。
東証は昨年10月、市場再編に向けた非公開の有識者懇談会を設置。懇談会の委員に選ばれた野村総合研究所の大崎貞和フェローが、東証1部に相当する新市場の上場基準となる企業の時価総額の目安について、懇談会内部の情報を野村証券に漏えいしたとされる。野村証券の営業社員らは、市場関係者の間で関心の高かったこの情報を顧客の投資家らに伝えた。
金融庁は不正売買で利益をあげるインサイダー取引には該当しないものの、市場の信頼性を損ねる悪質な行為と判断。12年にもインサイダー情報の漏えいで業務改善命令を受けたにもかかわらず、営業社員が入手した重大情報を再び顧客に漏らしたことを重くみて、処分に踏み切ることにした。
野村HDは23日、「市場の公正性確保の観点から不適切な情報の取り扱いがあったことは認識しており、重く受け止めている。事実関係や再発防止策についてすみやかに取りまとめ、公表する」とのコメントを出した。
政府は今年3月、大崎氏を公認会計士・監査審査会委員の候補とする国会同意人事案をいったん提示した後、取り下げる異例の措置をとった。大崎氏の情報漏えいへの関与が確認されたことが理由で、西村康稔官房副長官が、衆院議院運営委員会理事会で謝罪した経緯がある。【古屋敷尚子】
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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190523-00000091-mai-brf
2019-05-23 14:12:00Z
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