整備新幹線の建設費をめぐる国とJR各社の対立が、激化する見通しになってきた。建設費が高騰していることから、JR各社が建設費の一部として国に支払う「貸付料(線路使用料)」の支払期間の延長など、JR側の負担引き上げを財務省が提案したからだ。負担の増加は経営に大きな打撃となるだけに、JR側の反発は必至だ。
新幹線の建設は国と自治体の支出に加え、列車を走らせるJR側が支払う貸付料で賄われる。貸付料は開業前に試算した鉄道事業の利益見通しを元に算出され、開業後にJR側が30年間分割して支払う。
しかし、人件費や資材価格の高騰、建設主体の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の甘い見積もりなどの影響で、現在建設中の北陸新幹線の金沢-敦賀間、九州新幹線の武雄温泉-長崎間は建設費が約2割増加。見込みよりも3451億円、追加の財源が必要となった。このうち2929億円は国や機構などが追加負担するが、残り522億円分の財源は見通しが立っていない。
不足分を税金で補えば財政悪化要因となる。このため、財務省は16日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)歳出改革部会で、貸付料の支払期間を50年に延ばすなどJR側にも一定の負担増を提案したのだ。
JR側にとっては受け入れがたい提案だ。しかし貸付料の算出には、近年収入の割合が増えているグループ会社の駅ナカなどの不動産収入は含まれておらず、財務省は「受益の実態に即した貸付料の算定ルールに見直すべきだ」とした。
ただ、財務省が提案するように貸付料の支払期間が20年間延長されれば、数百億~数千億円の追加支出となるほか、将来的に新設される新幹線でも同様のルールが適用される恐れもあることから、JR側との協議は難航が予想される。
https://www.sankei.com/economy/news/190519/ecn1905190006-n1.html
2019-05-19 12:08:00Z
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