内閣府が20日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0.5%増となった。年率では2.1%増。一部で景気後退懸念も出始めるなか、予想外の高成長となった。実際は輸入の大幅な落ち込みが成長率を押し上げた形で、内需にも陰りが出つつある。民間エコノミストは4~6月期を平均でゼロ成長と予測しており、なお先行き不透明感が強い。
市場では今回のGDPについて、マイナス成長もあり得るとの見方が広がっていた。結果はQUICKが集計した民間23社エコノミストの予測平均(前期比年率0.2%減)を超え、予測の最高値だった1.4%増も上回った。
内閣府は今月13日、景気動向指数に基づいて景気の基調判断を機械的に「悪化」に引き下げた。今回GDPが2四半期連続のプラス成長を確保したことで、景気悪化に対する過度な懸念はひとまず和らいだ。
1~3月期のGDPは、主に外需が押し上げた。前期比0.5%増の内訳を見ると内需が貢献したのは0.1%分だけで残る0.4%分は外需が押し上げた。
外需は輸出から輸入を差し引いた「純輸出」ではかる。今回、外需が増えたのは輸入の下げ幅が輸出の下げ幅より大きかったためだ。1~3月期は中国経済の減速で輸出が2.4%減ったが、輸入は4.6%減とリーマン・ショック直後の2009年1~3月以来の大きな落ち込み幅となった。企業の生産活動に必要な原油や天然ガスなどの輸入が減った影響が大きい。
野村総合研究所の木内登英氏は「輸入の大幅減は国内需要の弱さを反映している」と分析する。成長率は大幅なプラス成長になったが「実際の景気は見かけよりもかなり悪い」(木内氏)。実際、内需の二本柱である個人消費と設備投資はどちらも2四半期ぶりにマイナスに転じた。
成長率が6月10日公表予定のGDP改定値で下方修正される可能性もある。改定値では6月1日発表の財務省の法人企業統計を利用して、設備投資などを推計し直すためだ。過去には18年7~9月期の実質GDPが改定値段階で前期比年率1.2%減から2.5%減に下方修正された時も、法人企業統計を受けて設備投資が大幅修正されたことが響いた。
日本経済新聞が20日に集計した民間13社のエコノミスト予測によると、4~6月期の実質GDPは年率換算の平均値で前期比0.004%減と、ゼロ成長にとどまる。大型連休に伴う支出増や消費増税前の駆け込み需要が始まることで、個人消費は持ち直しそうだ。
半面、中国経済の不透明感や米中貿易摩擦の激化がリスクとして残る。第一生命経済研究所の新家義貴氏は「輸出は当面伸びにくい状況が続く。設備投資にも輸出の弱さが波及する可能性がある」とみている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45039980Q9A520C1MM8000/
2019-05-20 11:47:00Z
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