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米ファーストリパブリック破綻、JPモルガンが…(写真=ロイター) - 日本経済新聞

【ニューヨーク=斉藤雄太】米連邦預金保険公社(FDIC)は1日、米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻し、公的管理下に置いたと発表した。同時に米銀最大手JPモルガン・チェースがFRCのすべての預金と資産を買収するとも発表した。3月の米地銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻後、財務が脆弱だったFRCの預金も急減し、信用不安が広がっていた。

公表文によると、FRCが本社を構えるカリフォルニア州の金融当局が1日に同行を閉鎖し、FDICを破綻管財人に指名した。FDICは速やかに引き受け手になる銀行の競争入札を実施し、JPモルガンがFRCの抱えていたすべての預金と実質的な全資産を引き継ぐことになった。FRCが米国内8州に構える84支店はJPモルガンの支店として1日に営業を再開する予定という。

FRCの資産規模は2022年末時点で全米14位だった。23年4月13日時点の総資産は2291億ドル(約31兆円)。破綻した米銀の資産規模としては3月に破綻したSVBを上回り、リーマン危機時の2008年秋に破綻したワシントン・ミューチュアル(約3070億ドル)に次ぐ過去2番目の大きさとなった。

JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は声明で「政府が我々に(FRC救済で)協力を要請し、それを実行した」と述べた。「我々の財務の強さや能力によって、預金保険基金のコストを最小化する方法で取引を実行できた」とした。

FRCは本店のあるサンフランシスコに加え、ロサンゼルスやニューヨークなどに拠点を構え、富裕層向け事業を軸にここ数年で業容を急拡大していた。1口座あたり25万ドルまでの預金保険の対象外となる大口預金比率は昨年末時点で全体の7割弱と、約9割のSVBに次ぐ高い水準だった。

3月10日にSVBが破綻するとFRCにも経営不安が飛び火し、預金の取り付けが生じた。同社は3月半ばに米銀最大手JPモルガン・チェースなど大手11行から300億ドルの預金を受け入れた。信用不安の広がりを防ぐための官民連携の救済措置だったが、資産の劣化や収益力の低下といった経営難は続いていた。

4月24日発表の2023年1〜3月期決算で、3月末の預金が22年末比で4割以上減ったことが判明すると、経営不安が再燃しFRCの株価は下げが加速した。

FRCは低金利環境下で期間が長い住宅ローンや債券投資を増やしてきた。米連邦準備理事会(FRB)による昨年来の急ピッチの利上げで貸出債権や債券の含み損が拡大。地銀のなかで財務面の脆弱さも目立っていた。米銀大手への資産売却計画など打開策を模索したが、買い手側も損失リスクのある資産の購入には及び腰だった。

今回、FDICとJPモルガンはFRCから引き継ぐ住宅ローンや商業用ローンで損失が発生した場合に負担を分かち合う契約を結んだ。いったんFDICの管理下に置く破綻処理を経ることで、買い手がつきやすくした。

FRBの金融引き締めに伴い、銀行預金からより利回りの高い金融商品に資金が流出する動きが続く。保有するローンや債券の損失が膨らみ、財務が悪化した米銀も多い。3月には資産規模で全米29位だったシグネチャー・バンクも破綻した。暗号資産(仮想通貨)関連の取引が多かったシルバーゲート銀行は自主清算に追い込まれた。

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2023-05-01 07:37:48Z
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