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焦点:20年ぶり円安、為替介入への警戒度薄い市場 日銀政策修正なら効果も - ロイター (Reuters Japan)

[東京 13日 ロイター] - ドル/円が13日、約20年ぶりに126円台まで上昇した。2002年5月以来の水準まで下落した円安を止める手段としては、日本の当局による円買い介入があるが、現時点で市場の警戒度は高くない。外貨準備という「限界」があるほか、米国の協力も期待できず、効果は限定的との見方が強いためだ。円安阻止にインパクトがあるのは日銀の政策修正との見方が出ている。

 4月13日、ドル/円が約20年ぶりに126円台まで上昇した。2013年2月撮影(2022年 ロイター/Shohei Miyano)

<「リミット」は1.35兆ドル>

円買い介入には「限界」がある。円売り介入の場合には、政府は「政府短期証券(FB)」を発行し円資金を調達、円を売却して外貨を買い入れる。FBが買われなくなる事態は当面想定されないことから、資金面では無制限の為替介入が可能だ。

しかし、円買い介入の場合は、外国為替資金特別会計(外為特会)が保有している外貨を売却して、円を買い入れる。このため、外貨準備高の量が事実上の円買い介入の限界となる。財務省によると、3月末時点の外貨準備高は1.35兆ドル(約168兆円)だ。

保有外貨の多くがドルとみられ、少ない額ではない。日本当局は1991年から98年の間に32回のドル売り/円買い介入を実施しているが、総額は4兆8794億円だった。しかし、日米金利差などファンダメンタルズがドル高・円安に傾いている中で、日本単独で円を買い支え続けるのは容易ではない。

外貨売りが円安要因になるリスクもある。外貨準備の約8割にあたる1.08兆ドルは外貨建て証券が占めるが、その多くは米国債とみられている。為替介入に伴う日本の米債売りで米金利が上昇すれば、日米金利差はさらに開くことになる。

大蔵省(現・財務省)時代に「ミスター円」と呼ばれた元財務官の榊原英資・インド経済研究所理事長は1997年─99年の財務官在任中、円安抑止と円高抑止いずれの為替介入も手掛けた。同氏は3月28日のロイターのインタビューで、130円を上回る円

安が進めば介入などが必要になるとしながらも、円安を止める為替介入は円高を阻止するとき以上に難しいとの認識を示している。

<期待しにくい米国の「協力」>

ニッセイ基礎研究所の上席エコノミスト、上野剛志氏は「98年6月の日米の協調介入後は急激に円安が収まっている」とし、「単独よりも協調介入であれば、各国が協調して為替の安定に努めるという意思を示すメッセージ性には効果がある」との見方を示す。

しかし、現状では米国の協力は期待しにくい。「いま米国が一番警戒しているのはインフレだ。為替介入でドル安・円高になれば、輸入インフレ高進の可能性が高まる。おいそれと米国は同意しないだろう」と、東海東京調査センターの金利・為替シニアストラテジスト、柴田秀樹氏はみる。

ドル/円は3月初旬の115円台から約1カ月強で125円台に上昇した。率にして約9%の上昇で、日本の当局者からは、最近の円安は急だとの声も出ている。しかし、日銀緩和があった2013年4月や14年10月には、その後同じく1カ月強で約11%の円安が進んだが、円買い介入は行われなかった。

日本当局が単独円買い介入に踏み切り、一時的に円高方向に動いたとしても、持続的な効果は得られないとFXcoinの取締役、上田眞理人氏はみる。「為替介入はそれなりにインパクトを与える可能性はある。ただ、ドル円のドライバーである日米金利差を打ち消すほどの円高に持っていくことは難しい」という。

<日銀政策修正ならサプライズ>

あおぞら銀行のチーフマーケットストラテジスト、諸我晃氏は「単独介入による効果は乏しい」とした上で「日銀の金融政策が正常化の方向に少し動けば、円安を抑制する材料になってくる」とみる。

ドル高・円安の大きな要因の1つは、日米金融政策の方向性の違いだ。大幅利上げやQT(量的引き締め)を視界に入れるFRB(米連邦準備理事会)に対し、日銀は指し値オペなど手段を総動員して、金利上昇抑制に動いている。マーケットは、米国利上げを相当程度織り込んだが、日銀の政策修正はサプライズだ。

ただ、日銀が政策修正に動いたとしても、イールドカーブ・コントロール(YCC)における10年債金利の許容上限を引き上げるだけではインパクトは弱い。利上げに動いたとしても「経済が弱い日本ではせいぜい1─2回程度」(国内銀行)とみられている。市場が想定するFRBの8─10回には及ばず、日米金利差が大幅に縮小するとの見方は少ない。

日本の経常収支は3月以降、黒字化に向かう可能性もある。しかし、モルガン・スタンレーMUFG証券のエクゼクティブディレクター、杉崎弘一氏は特段、円を買う理由が見当たらないと指摘。基本的には現行水準でのレンジ取引が続くと予想するが、米国のインフレ高進が収まらなければ、FRBが今後1回で50─75bpの利上げを示唆するような展開になり、「(ドルが)130円近くまで上昇する可能性は出てくる」と話している。

(坂口茉莉子 編集:伊賀大記)

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2022-04-13 08:44:00Z
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