食品などの値上げが相次いでいる。総務省が21日に発表した昨年12月の全国消費者物価指数は4カ月連続で前年を上回ったが、年明け以降も傾向は継続。物価上昇の要因とされる原油高や円安は足元でも続いており、こうした影響が最終製品やサービスに及ぶのは数カ月後とされることから、春先以降も身近な製品の値上げは続く見通しで、家計への影響が懸念される。
「自社でやれることはやってきたが、このままでは安定供給にも影響が出かねない」。14日にドレッシング12品を約3~13%値上げすると発表した日清オイリオグループの担当者はそう話す。
同社は昨年、菜種など穀物価格の高騰でドレッシングの主原料となる食用油の価格を計4回引き上げてきた。その影響が自社の加工製品にも及び始めている。
穀物価格は一昨年の原産国での不作に加え、世界的な脱炭素化の流れの中でバイオ燃料需要が増えて相場が上昇。小麦や大豆の値段なども上がっており、昨年後半から、パンやパスタなど加工食品を中心に値上げが続いている。
値上げの要因は穀物だけではない。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ需要が世界的に急回復し、さまざまなモノの供給が追い付いていないことも背景にある。特に原油の価格高騰は幅広い業界に影を落とす。
ガソリンなどの燃料費の高騰で物流コストが増加するほか、電気やガスの価格も毎月のように値上がりして製造コストも上昇。原油高は製品の包装材の価格にも及ぶため、ほどんどの企業がなんらかの影響を受けることになる。
それだけに、キッコーマンが「企業努力だけでは吸収できない」と、しょうゆなどの価格を14年ぶりに引き上げるなど、長年にわたって価格を維持してきた商品にも値上げの波が及んでいる。まだ値上げを実施していない大手飲料の担当者も「当然値上げは検討している」と明かす。
衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの岡崎健(たけし)グループ上席執行役員最高財務責任者(CFO)も、13日の決算会見で「上げざるを得ないものは上げる」と述べており、今後も値上げ発表は続く見通しだ。(蕎麦谷里志)
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2022-01-23 07:31:00Z
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