JR東海は27日、2022年3月期の連結最終損益が300億円の赤字(前期は2015億円の赤字)になりそうだと発表した。150億円の黒字を見込んでいたが、一転して赤字予想に引き下げた。最終赤字は2期連続。新型コロナウイルスの流行が落ち着きを見せ東海道新幹線では旅行客が回復しつつあるが、出張利用の手控えが続いている。
JR東海が22年3月期予想を引き下げるのは7月末に続き2度目。連結売上高は、予想を1070億円引き下げ、前期比22%増の1兆80億円と見込んでいる。記者会見で金子慎社長は「旅行客は比較的に早く戻ると思うが、ビジネス出張は感染防止に慎重な企業が多い」との見方を示した。
年間の運輸収入について7月末時点では、新型コロナが広がる前の19年3月期に比べ59%の水準と見込んでいたが、52%にとどまると見直した。
JR東日本は22年春から新幹線や特急列車のグリーン席料金を最大で3割値上げすると発表したが、JR東海の金子社長は「現時点で考えていない」と話した。サービスの強化とコスト削減で収益力を引き上げる考えだ。
10月から東海道新幹線の最速列車「のぞみ」では1両をテレワーク対応とした。パソコン画面ののぞき見を防ぐついたてやUSB充電器を無料で借りられる。一方で期初時点で年730億円のコスト削減を見込んでいたが、広告宣伝費を減らし急ぐ必要のない修繕を抑えて削減幅を1千億円に広げる。
27日に発表した7~9月期決算は売上高が前年同期比1%減の2063億円、最終損益は160億円の最終赤字(前年同期は409億円の赤字)だった。9月にかけて新型コロナの流行が想定よりも深刻で、新幹線利用客の落ち込みが続いた。6月にいったん終えた、駅や運行に関わる社員を対象にした一時帰休を9月に再開するなどコスト削減を進めたが、補えなかった。
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2021-10-27 09:50:53Z
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