日本大学付属病院の建て替え計画を巡り、日大資金を流出させたとして逮捕された元日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)らが、付属病院で使う医療機器の調達でも日大に2億円近い損害を与えたとして、東京地検特捜部は27日、井ノ口容疑者と、大阪市の医療法人「錦秀会」前理事長・籔本雅巳容疑者(61)を背任容疑で再逮捕した。井ノ口容疑者は否認しているが、籔本容疑者は一連の背任容疑を認めたという。
発表などによると、2人は共謀し、今年3〜5月、日大が医学部付属板橋病院(東京都板橋区)で使う画像診断機や電子カルテシステムといった医療機器をメーカーから調達する際、籔本容疑者側の会社に計約1億9800万円を流出させるため、日大に同額分を過大に支出させる契約を締結させた疑い。
関係者によると、医療機器の調達は、画像診断機など7台を計約14億6000万円でリース会社を通じて納入するほか、約9億円かけて電子カルテシステムを更新する内容だった。
日大は2017年4月から、医療機器のほか、医薬品や医療器具などの調達について、契約事務を100%出資の関連会社「日本大学事業部」(東京都世田谷区)に集約していた。井ノ口容疑者は以前から日大事業部の運営に関わり、19年12月には取締役に就任。画像診断機や電子カルテシステムなどを調達する際、複数のコンサルタント会社の介在を画策したという。
その結果、過大支出にあたるとされる約1億9800万円のうち、約1億3100万円は籔本容疑者の親族が役員を務める大阪市の医療コンサル会社に、約6700万円は籔本容疑者が全株式を保有する東京都港区の医薬品関連会社に流出したとみられている。
特捜部は27日、板橋病院の建て替えに伴う設計業務契約を巡り、昨年8月上旬、都内の設計会社を介して医薬品関連会社に2億2000万円を送金したとする背任罪で両容疑者を東京地裁に起訴した。
井ノ口容疑者は2億2000万円の送金直後、知人に売却した会社名義で籔本容疑者側から6600万円を受領したとされるが、これとは別に、医療機器の調達を巡っても同様の方法で約2700万円を受領した疑いがあるという。特捜部は、いずれも日大資金の流出先となった籔本容疑者側からの「謝礼」とみている。
一方、籔本容疑者は2億2000万円が送金された2日後、田中英寿・日大理事長(74)に3000万円を提供したほか、3年間で少なくとも数千万円を提供したと供述しており、特捜部が授受の有無や趣旨などを慎重に調べている。田中理事長は特捜部の任意の事情聴取に対し、籔本容疑者からの現金の受領を否定したという。
日大を巡る一連の事件は、特捜部が昨年10月に公正取引委員会と合同で捜索を行った独立行政法人「地域医療機能推進機構」(東京)の医薬品発注を巡る談合事件が端緒となった。
関係者によると、特捜部は、複数の医薬品卸大手から押収した資料を分析するなどした結果、日大付属病院と医薬品卸側の取引に絡んで、籔本容疑者側の会社への不透明な資金の流れがあることを確認。医薬品や医療機器の調達で、井ノ口容疑者らが資金を流出させていた疑いのあることを把握していったとみられる。
特捜部は、日本大学事業部で元々、調達契約の事務処理を担当していた井ノ口容疑者が、医薬品や医療器具の調達でも日大に過大な支出をさせる一方、懇意のコンサルタント会社などに指示して籔本容疑者側に資金を流出させる枠組みを作ったとの見方を強めており、この枠組みが今回の再逮捕容疑になっている。
井ノ口容疑者らは、最初の逮捕容疑となった板橋病院の設計業務契約でも同様の枠組みを用いていたとみられる。当初、籔本容疑者側への送金に難色を示していた都内の設計会社には、日大から設計費などを前払いした上で、送金を実行させており、検察幹部は「捜査が及ばなければ、さらに多額の資金が流出していた可能性が高い」と話す。
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2021-10-27 23:48:00Z
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