【NQNニューヨーク=戸部実華】27日のニューヨーク外国為替市場で円相場は反落し、前日比55銭円安・ドル高の1ドル=106円50~60銭で取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が27日、物価上昇率が目標の2%を一時的に超えることを容認する新たな政策指針を発表した。低金利政策の長期化が米経済の回復を後押しするとの見方が広がり、円を含む主要通貨に対してドル買いが優勢になった。
FRBは2%という長期的な物価目標について「平均で2%の達成」と変更し、当面の間は2%を上回る物価上昇率を目指す。長期にわたって利上げはできないとの見方から、発表直後はドル売りが先行し、円は105円61銭に上昇する場面があった。
ドルは売り一巡後に買い優勢に転じた。新指針が物価上昇や景気回復を後押しするとの見方から米長期金利が上昇。日米金利差の拡大観測から円売り・ドル買いが入った。27日の国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)の講演でパウエルFRB議長は「低インフレの持続は経済にリスクとなる」と述べ、新指針の狙いを説明した。市場では「ゼロ金利政策の長期化はコロナ後の米経済回復を支える」(BKアセット・マネジメントのキャシー・リーン氏)との声も聞かれた。
米株式市場では景気敏感株を中心に買いが入ってダウ工業株30種平均が続伸したのも、リスク回避の際に買われやすい円の売りにつながった。米住宅関連指標の改善もドル買い材料になった。7月の仮契約住宅販売指数は前月比5.9%上昇と市場予想(3.5%上昇)を上回った。この日の円の安値は106円71銭だった。
円は対ユーロで反落し、前日比65銭円安・ユーロ高の1ユーロ=125円95銭~126円05銭で取引を終えた。
ユーロは対ドルで続落し、前日比0.0010ドルユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.1815~25ドルで取引を終えた。FRBの新指針を受け、対ユーロでもドル買いが優勢だった。ただ、ダウ平均が続伸するなど投資家のリスク選好の高まりを受け、ユーロは下げ渋った。ユーロの安値は1.1763ドル、高値は1.1903ドルだった。
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2020-08-27 21:55:10Z
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