為替トレーダーにとって7月は気が休まらない長い1カ月になりそうだ。月末の日本銀行の金融政策決定会合で国債買い入れの減額計画と同時に追加利上げを決めるとの観測が浮上する一方、円安進行に終わりが見えず、政府・日銀による円買い介入リスクにさらされる日々が続く。
円相場は6月下旬以降、対ドルで約38年ぶりの安値をほぼ連日で更新し、当局に為替介入を迫る催促相場の様相を呈している。7月は国内外のインフレ関連指標や金融政策発表などイベントが多く、経済指標と為替介入リスク、政治リスクが円相場を左右し得る3大要因となる。
経済指標リスク
5日の米雇用統計から26日の米個人消費支出(PCE)価格指数まで、国内外で発表される多くの経済指標が、円だけでなくドルの売り買いを促す材料となる。米金融当局が重視するPCE価格指数は5月に伸びが鈍化し、年後半の利下げを後押しする内容となったが、円安の歯止めにはならなかった。
米PCEコア価格指数、5月は伸び減速-年内利下げの論拠補強 (3)
日本の政策金利はマイナス金利解除後もわずかにゼロ%を上回る水準で、追加の利上げ幅も0.15ポイントにとどまるとの見方が市場の大勢を占める。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、9ー10日に上下院で半期金融政策報告を行う予定で、利下げに慎重な発言が出れば円安が一段と進むリスクがある。
経済指標では11日に米国で消費者物価指数(CPI)、12日に生産者物価指数(PPI)が公表される。国内でも19日に全国CPIが発表される。先行指標の東京都区部CPIに続いて日銀の追加利上げの後押しする内容となれば、円買いが入る可能性もある。
東京消費者物価は3カ月ぶり2%台回復、利上げ見極め必要との見方も
介入のトリガー
年初からの対ドル下落率が10%を超え、約38年ぶり安値圏で円相場が推移する中、市場の介入警戒感は根強い。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「介入発動は水準感でなく、円安のスピード感」とした上で、現状の161円台から165円近くまでは介入しづらいと予想する。
一方、SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、165円を超える円安を阻止するためには「162円から165円の間が介入ライン」と分析。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、164円50銭やプラザ合意前の1985年安値から最高値までの半値に当たる169円07銭を重要水準に挙げる。
鈴木俊一財務相は具体的な防衛ラインはなく、介入は「過度な変動」への対応と説明してきた。介入のトリガー(引き金)となる「過度な変動」の解釈を巡っては、神田真人財務官がいくつかのヒントを提供している。その一つが「2週間で4%」の円下落だ。
また、2022年の円買い介入からは二つの規則性が読み取れる。当時、通貨当局が介入を検討に入る前に、円相場は少なくとも「24時間以内に2円以上変動」していた。
介入を警戒すべき定量的評価 | 検証(7月5時点) |
---|---|
「2週間で4%の円安・ドル高」ー神田発言 | 約1.4%の下落 |
「半年強で25%程度の円安」ー神田発言 | 約13%の下落 |
「1カ月で10円の円安」ー神田発言 | 約7円下落 |
1日で2円の円安 | ー |
6円間隔で介入実施 | 次回介入ラインとして164円示唆 |
もう一つは円買い介入が実施された水準だ。同年9月の介入は146円に向けて円安が進む中で実施され、10月は152円に迫る局面で行われた。今年は4月末に159円台半ばで介入が入ったとみられている。
つまり一連の介入は約6円の円安進行がトリガーとなって実施されており、それに基づくと次の介入警戒レベルは164円となる。
政治的リスク
かつて政治的な不確実性が生じた際に、投資マネーは経常黒字で対外債権国の日本の円に逃避すると言われた。しかし、最近のフランスや英国の政治リスクに対する円相場の動きを見ると、安全資産としての地位はすでに失われたようで、円安が一服する気配はない。11月に米大統領選挙を控えて、トランプ氏の再選期待からドル高が顕在化していることも円相場にとって逆風となっている。
一方、7月は円にとって良い月で、ここ5年間は平均で1%以上の円高となっている。今年も月初から0.2%高と比較的良好なスタートを切ったが、さまざまなリスクが存在する中で、円相場の反転は依然として見通しにくい。
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2024-07-05 06:04:37Z
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