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政府・日銀は新たな共同声明を-令和臨調が緊急提言 - ブルームバーグ

財界や学界の有志からなる「令和国民会議(令和臨調)」(共同代表・佐々木毅元東京大学総長ら)は30日、政府と日本銀行が建設的な連携を目指す新たな共同声明を作成すべきだとし、日銀の2%の物価安定目標を長期的な目標として位置付けることなどを盛り込んだ緊急提言を公表した。

  新たな共同声明の骨子案では、政府と日銀の連携によって生産性向上、賃金上昇、安定的な物価上昇が起こる「持続的な経済成長が実現するための環境を作る」ことを共通目標に設定。その過程で国債市場の正常化を図り、市場安定に特段の注意を払うとし、日銀の対応については「消費者物価上昇率2%を長期的な物価安定の目標として新たに位置付ける」と明記した。

  10年前に政府と日銀が合意した現在の共同声明では、2%の物価安定目標について「できるだけ早期に実現することを目指す」としているが、日銀の大規模な金融緩和にもかかわらず実現できていない。現在の共同声明でも構造改革や規制改革といった政府の役割も示しているが、提言では特に政府の約束について「実行が十分に伴わず、結果が出ていない」としている。

 

共同声明の骨子
  • 政府は生産性向上と賃金上昇の実現を目指すとともに、財政に対する信任を回復するために実効性ある仕組みと体制を構築する
  • 日銀は一定の時間軸の中で金利機能の回復と国債市場の正常化を図る。2%インフレは長期的な目標と新たに位置付け、安定した物価上昇を伴う持続的な経済成長を目指す
  • 財政・金融の一体改革に向けた政策の妥当性と進捗(しんちょく)状況を定期的に検証し指摘する制度的な仕組みを整備する

 

  会見した翁百合財政・社会保障部会共同座長(日本総合研究所理事長)は、日銀の独立性が大前提だとし、物価目標を長期的と位置付けることで「金融政策が柔軟に動きやすくなる」と説明した。提言を踏まえれば、現在の金融政策が見直される可能性があるとしながらも、物価目標は現状の2%を目指して努力することが大事だと指摘した。

  一方で、提言では、日銀が長期金利をゼロ%程度に抑制し続けたことが、バラマキ的な財政支出につながったと指摘。結果として構造改革が先送りされ、「金融政策の正常化を妨げるという悪循環をもたらしている」との見解を示した。翁氏も持続的な財政の実現によって、金融政策の柔軟性も高まると語った。

  翁氏は金融市場で、日銀副総裁候補として名前が浮上している。翁氏は会見で、提言内容は個人としての意見でもあるのかとの質問に対し、日銀正副総裁人事は、「政府や国会において粛々と手続きが進むものと理解している」と発言。その上で、令和臨調は民間の集まりであり、「臨調全体としての提言と受け止めていただきたい」と述べた。

  4月8日に任期満了を迎える黒田東彦日銀総裁の後任の要件としては、市場や国民とのコミュニケーションの重要性を挙げた。

  令和臨調による提言を受け、為替市場では円が対ドルで一時0.5%高の1ドル=129円21銭まで上昇した。クレディ・アグリコル銀行資本市場本部の斎藤裕司シニア・アドバイザーは、「共同声明を見直せという提言が早期の金融政策修正の思惑を呼んで、市場は円買いで反応した」と指摘。

  翁氏も参加していることで、市場が「余計に反応している面もあると思う。会見内容からはYCC(イールドカーブコントロール)やマイナス金利はやめるべきと言っているように聞こえる」との見方も示した。

  令和臨調は昨年6月に発足。統治構造や財政・社会保障、国土構想の三つの部会でそれぞれ議論を進めており、今年度末をめどに各部会の第1次提言をとりまとめる予定。財政と金融政策のあり方については、財政・社会保障部会を中心に議論を行ってきたことから、2023年度予算案審議が本格化する前に緊急提言を行うことにした。

 

(提言内容の詳細を追加して更新します)

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2023-01-30 04:16:46Z
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