【ニューヨーク=野村優子】米日用品・製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は12日、日用品や市販薬を含む「消費者向け部門」と、処方薬や医療機器などの「医療向け部門」の2事業に分割すると発表した。多角化によって企業価値が抑えられる「コングロマリット・ディスカウント」を避け、事業の専門性を高める狙い。
消費者向け部門を分離(スピンオフ)する。18~24カ月以内に分離を完了する見通しで、上場を目指す。同部門は、解熱剤の「タイレノール」や救急ばんそうこうの「バンドエイド」、口臭防止剤の「リステリン」などのブランドを抱える。医療向け部門が現J&Jを引き継ぐ。
現在は「消費者向け」と処方薬やワクチンを含む「医薬品」、手術用医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」の3部門を経営の柱としている。J&Jによると、医薬品と医療機器を合わせた医療向け事業の売上高は2021年通期に約770億ドル(約8兆8000億円)、消費者向け事業は150億ドルを見込んでいる。時価総額は約4300億㌦(約49兆円)と国内最大のトヨタ自動車の約1・5倍。
アレックス・ゴースキー最高経営責任者(CEO)は同日の声明で「今後数十年にわたり価値を提供するため、事業を継続的に進化させる必要がある。消費者向けの分離は、患者や消費者、医療従事者へのサービス提供を加速させ、高い収益性と成長を促進する最善の方法だ」と述べた。分割が伝わった後、J&J株は時間外取引で一時5%超上昇した。
大手企業を巡っては事業部門ごとに分割する動きが広がっている。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)は9日、24年までに航空機エンジン・医療機器・電力の3つの事業会社に分割し、それぞれが株式を上場する方針を発表した。東芝も12日、会社全体を3社に分割し、それぞれ23年度下期をめどに上場させる計画を表明した。デジタル経済への移行で変化のスピードが増すなか、事業部門ごとに投資計画や戦略を明確にして成長を取り込む動きが広がる。
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2021-11-12 12:38:06Z
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