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連絡取れぬ妻、「生きていて」 熱海土石流 - auone.jp

「女房がまだ埋まっている。紅葉の木が家の目印だから、その辺りを探してください」

大規模な土石流に襲われた静岡県熱海市の伊豆山地区。造園業を営む田中公一さん(71)は、知人の地元消防団員を通じて、警察や消防に訴えた。しかし、4日になっても、約40年連れ添った妻の路子(みちこ)さん(70)との再会はかなわなかった。

田中さんの自宅は、土石流が直撃した伊豆山地区の逢初(あいぞめ)橋から北西に約300メートル離れた場所にある。3日午前10時50分ごろ、近所に住む友人の安否を気にした路子さんから「様子を見に行って」と頼まれ、車で出発した。数十分後。帰宅すると辺りに轟音(ごうおん)が響き、自宅は土石流の直撃を受け、隣家に押され傾いていた。

「路子!」何とか室内に入り、妻の名前を呼んだが返事はなかった。しばらくすると土砂の流れが激しくなったため、室内で充電していた携帯電話だけを握りしめて、外へ逃げた。携帯電話を見ると、助けを求める路子さんからの着信が何件も入っていた。

「体が挟まっている。助けて」。路子さんは別の知人に電話し、窮状を訴えていたことを後に知った。午後5時ごろに再び戻ると、土石流で押し流された別の建物が、自宅の屋根を完全に押しつぶしていた。

「避難もしていなかったはず。もう無理かな…」

3日は熱海市内にある路子さんの姉の家に身を寄せたが、全く眠れなかった。4日朝から自宅へ行こうとしたが、危険区域のため警察と消防に止められた。妻がまだ見つからないことを伝えて、近くの高台から、救助活動をじっと見つめ続ける。

「勝ち気なところもあったが、明るく、しっかりしていた」と路子さんのことを話す。仕事が忙しいときも、懸命に家庭を支えてくれた。「やっと子育ても終わり、孫もできた。人並みの親の務めは果たせたのかな」と、2人で話す時間が幸せだった。秋には長野県に旅行する計画も立てていた。穏やかな日常は、土砂にのまれた。

いまは救助活動を見守ることしかできない。歯がゆさだけが募る。

「半分はあきらめている。でも、かすかな望みはまだある。なんとか生きていてほしい」

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2021-07-04 09:48:00Z
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