米食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルス治療に抗ウイルス薬「レムデシビル」の緊急使用を許可した。
米ギリアド・サイエンシズのレムデシビルは、エボラ出血熱の治療用に開発されたもの。
新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」が重症化した人に臨床試験で投与したところ、回復が早まる結果が出たため、FDAはCOVID-19治療用の緊急使用許可(EUA)を与えた。
緊急使用許可は正式な承認とは異なる。正式な承認には、さらに徹底した審査が必要となる。
レムデシビル投与で、COVID-19重症患者の回復期間が短縮されたものの、生存率が大幅に改善したわけではなかった。このため複数の専門家は、これがCOVID-19の「特効薬」になるとは期待しない方がいいと警告している。
レムデシビルは、ウイルスのゲノムに作用し、ウイルスの複製を阻害する。
ドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウスで会談したギリアド社のダニエル・オデイ最高経営責任者は、FDAの使用許可は重要な第一歩だと述べた。14万症例の治療に相当する150万本を、政府に寄付する方針という。米政府はこれを、特に重症患者が集中している地域の病院に配布する予定。
会談に同席したスティーヴン・ハーンFDA長官は、「初めて認められたCOVID-19の治療法だ。参加できてとても誇らしい」と述べた。
FDAの決定はアメリカ国内にのみ適用される。
レムデシビルについて分かっていること
レムデシビルはエボラ出血熱の治療用に開発されたが、回復効果はなかった。ギリアドはウエブサイトで「どのような症状についても安全性や治療効果が確立されていない、実験的な薬」だと書いている。同社はさらに、重い副作用の可能性があると警告している。
一方でトランプ大統領は以前から、レムデシビルの効能を力説している。
国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が部分的に公表した臨床試験では、レムデシビルを投与した患者は回復期間が15日から11日に短縮されたという。
この試験には、アメリカ、フランス、イタリア、イギリス、中国、韓国を含む世界各地の病院で1063人が参加。一部にはレムデシビルが投与され、その他には対照としてプラセボ(偽薬)が与えられた。
NIAIDのアンソニー・ファウチ所長は、この試験結果からレムデシビルには「回復期間の短縮につながる明確で有意義な効果が相当ある」と評価した。
ただし、レムデシビルによって回復が早まり、集中治療を必要とする人数を減らす可能性はあるものの、COVID-19による死亡を防ぐ効果があるかは明確な結果が出なかった。
有効な治療方法について不明点が多いなか、ギリアド社は人工呼吸器を使っている患者には10日間、使っていない患者には5日間、連続投与するよう提案している。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(日本時間3日午前)によると、世界全体では340万人以上の感染が確認されている。このうち約110万人が回復したという。
ギリアド社は各国の提携企業と連携して、増産体制を整備する方針を示している。10月までに少なくとも50万症例、12月までに100万症例が必要とする量を作り、必要になれば来年にも数百万症例分を用意する用意があるという。
感染対策
在宅勤務・隔離生活
(英語記事 Coronavirus: US authorises use of anti-viral drug Remdesivir)
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2020-05-03 02:40:13Z
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