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中国貿易、WTO加盟20年で9倍 国有企業改革は進まず - 日本経済新聞

【北京=川手伊織】中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して、12月で20年を迎える。貿易総額は9倍に拡大し、世界貿易に占めるシェアは米国を上回った。多国間貿易を推進する姿勢を前面に出して地域貿易の主導権確保を狙うが、国有企業の優遇見直しなど国内改革は停滞している。

「20年間、中国は加盟時の公約を全面的に履行してきた。全体の関税率は7.4%と、公約の9.8%を下回る」。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は4日、中国国際輸入博覧会開幕式の演説で、WTO加盟後の実績を強調した。

5日に上海市で開いたハイレベルフォーラムでは習氏の盟友、王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席があいさつし「中国は引き続き高水準の対外開放を広げていく」と語った。

中国は安い人件費を武器に「世界の工場」として輸出を伸ばす一方、段階的な関税の引き下げで輸入も増やした。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、20年の輸出は2001年の9.7倍、輸入は同8.4倍となった。

貿易総額は同じ期間に9.1倍に膨らみ、2.8倍だった世界貿易の拡大ペースをはるかに上回った。輸出品目をみると、加盟当初は労働集約的な衣料品などが主力だったが、最近ではパソコンやスマートフォンの出荷も伸びている。

世界貿易に占める中国の比率は01年の4%から20年には13%に達した。13年には米国を追い抜いた。日本を含む多くの国にとって最大の貿易相手国になった。

米国がインド太平洋地域での自由貿易協定(FTA)の枠組みに慎重な姿勢をとるなか、中国は積極的に参加する方向にかじを切っている。8年越しで合意した東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)は22年1月の発効が決まった。

今年9月には、自由化の水準がより高い環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟も申請した。米国との覇権争いを有利にしたいとの思惑が透ける。

習氏は4日夜の演説で「中国は積極的かつオープンな姿勢で、産業補助金や国有企業といった議題について協議する」と述べ、海外が疑問視する問題を挙げて交渉に応じる方針を示した。

それでも、TPPの高度な要求を満たす覚悟があるとは言い切れない。例えば習氏も言及した国有企業だ。TPPは競争をゆがめる優遇を禁止する。

海外は中国の国有企業優遇を問題視するが、中国は「民間企業などと同じく独立した市場主体で、特別な待遇は受けていない」(商務省の王受文次官)と制度論で反論している。

中国の専門家の間には「TPPには安全保障を理由にした例外規定がある」として、この規定を多用すれば最小限の改革で加盟できるとの論調もある。

商務省の束珏婷報道官も記者会見で例外規定の多用について見解を問われると「さらなる情報があれば速やかに公表する」と言及を避け、否定しなかった。

中国式を押し通す手法はこれまでも見られた。世界2位の経済大国になってもWTOで「発展途上国」と申告して優遇措置を受けている。米国などは批判するが、中国は「経済成長に地域格差がある」(王次官)と取り合うつもりはない。

中国の市場開放をめぐっては、国有企業などのほか、政府調達における内外企業の待遇格差やデータ統制の強化といった課題もある。

WTOが10月に開いた中国の貿易政策に関する審査では、加盟国が2500件を超す問題を提起した。前回18年の審査より16%増えた。中国への期待とともに懸念が高まっていることを物語っている。

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2021-11-06 08:00:00Z
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