景気の勢いが予想より弱く、米連邦準備制度が金融引き締めを遅らせる可能性があるという金融市場の懸念は長続きしなかった。連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長のタカ派的発言が、最初の利上げが2023年初めとの確信の定着を促す格好となった。
ADPリサーチ・インスティテュートが4日発表した7月の米民間雇用者数の伸びは前月比33万人増と、69万人増の予想を大きく下回り、連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策の観測ツールとして用いられるユーロドル先物には、最初の0.25ポイント利上げが23年6月前後になるとの見通しが一時織り込まれた。
米ADP民間雇用者数、7月は33万人増-予想を大きく下回る (1)
しかし、「フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げの必要条件が22年末までに満たされるだろう」とのクラリダ副議長の発言を受け、取引の急速な巻き戻しが起きた。副議長はまた、力強い成長が続くことを前提に資産購入のテーパリング(段階的縮小)開始のアナウンスを年内に行うことを支持すると語った。
クラリダ副議長、年内のテーパリング発表と23年利上げ開始を予想 (1)
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのマクロ戦略責任者マイク・シューマッハー氏は「クラリダ氏の発言はやや弱気だ。テーパリング開始の年内発表を支持できると述べたことは興味深い」と指摘。ニューヨーク時間4日の通常取引で、米国の10年国債利回りは一時1.13%に低下したが、クラリダ氏の講演内容が伝えられた後は上昇に転じ 1.18%で終了した。
米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も4日、連邦準備制度がテーパリングを年内か来年初めに開始する可能性があるとの見通しを示した。米国債相場への下押し圧力はその後も続き、10年国債利回りはアジア時間5日の取引で一時1.20%を付けた。
SF連銀総裁、テーパリング年内か来年初めの開始予想-「何か行う」
原題:Money Markets Cement Bets on Early 2023 Hike After Clarida (2)(抜粋)
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2021-08-05 04:53:42Z
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